凶悪な殺人犯だけじゃない! “身近なサイコパスの特徴”とは?
公開日:2018/12/26
突然だが、「サイコパス」という言葉を聞くと、あなたはどんな人を思い浮かべるだろうか。映画やドラマの影響により、凄惨な殺人事件を起こす凶悪犯のことをサイコパスというのだと思っている方もいるかもしれないが、実は一般社会にも数多くいるという。そんな一見普通に見える、隠れサイコパスの特徴をまとめているのが、『まんがでわかる 隣のサイコパス』(名越康文:監修/カンゼン)だ。
サイコパスの症状は十人十色。日本を含む東南アジア地域では100人に1~2人の割合で存在するといわれているが、大半は犯罪に手を染めることなく、一般の人々と共に普通の社会生活を送っていることが最近の研究で分かってきた。
しかし、もしも自分の目の前にサイコパスが現れたら、どう対処していいのか分からなくなってしまうもの。思わぬ痛手を負わないためにも、まず本書でサイコパスの特徴や心理を学んでおこう。
■そもそもサイコパスとは?
ドラマや映画の中で使われる機会が多いサイコパスという名称は正式なものではなく、正しい病名は「反社会的パーソナリティ障害」である。
国際的な精神科診断基準とされているアメリカ精神医学会の「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引」によれば、被験者が15歳以上である場合、下記の7つの特性のうち3項目以上が当てはまるとサイコパスである可能が考えられるのだという。
1.法律にかなって規範に従うことができない、逮捕に値する行動
2.自己の利益のために人をだます
3.衝動的で計画性がない
4.けんかや暴力を伴う易刺激性
5.自分や他人の安全を考えることができない
6.責任感がない
7.良心の呵責がない
こうした特徴を持つサイコパスは先天性である可能性が高いと考えられているが、資質を持っていても5人中4人は反社会的サイコパスには成長しないと推定されている。ただ、犯罪者になりにくいとされている向社会性サイコパスの場合でも生まれ持った資質により、トラブルを起こしてしまう可能性はある。サイコパスは社交的で頼もしく、将来性がある魅力的な人物として映ることも多いが、表だっている魅力と問題点は表裏一体なのだとか。
周囲の人は社会で起こっていることに目を向け、相手のペースに巻き込まれないように気を付ける必要がある。そして、身近なところでサイコパスと遭遇し、傷つけられそうになった場合は、正面から立ち向かおうとしないことも重要。自分の身を守るには転職や離婚などをして、逃げるようにしたほうがよいそうだ。
■あなたの上司は大丈夫? 職場を自分色に染めるサイコパス
サイコパスな上司と聞くと、暴力的で全ての部下に対して冷たい態度を取るものだと考えている人もいるだろう。しかし、近年はさまざまなハラスメント問題が非難を浴びているため、世情を踏まえたサイコパスの中には周囲の人を操り、自らの手を汚さず間接的に他者を思い通りに動かす「支配型サイコパス」も存在しているという。
全7つのサイコパスストーリーが描かれている本書内では実際に、自分の手駒とならない新人社員をあからさまに切り捨てるサイコパスな上司・佐伯の姿が描かれている。
佐伯は一見、ソフトで人当たりがよさそうに見えるが周囲の人とフェアな関係を築く気がまったくなく、自分に少しでも盾つく相手は忠誠心がないと判断し、とことん冷淡で無関心な態度を見せる。そんな佐伯は明るく社交的であり、身なりにも必要以上に気を使っているため、誰の目にも魅力的に映りやすく、取り巻きの従業員がいる。そのため、自分の手を下さずに邪魔者を排除できるのだ。
こうした支配型サイコパスは自分が望む世界を創るために他者を徹底的に利用するのが特徴。佐伯のように職場を自分色に染める上司に懐柔されないためには見た目に惑わされず、相手の行動を見極め、性格を判断していくことがカギとなる。
また、支配型サイコパスから標的にされてしまい、自分ひとりで解決できない事態にまで問題がエスカレートしてしまったときは、別の上司やカウンセラーに相談し、客観的な判断を仰ぐことも必要だ。
サイコパスに対して偏見を持つことはもちろん避けるべきだが、サイコパスの標的にされないためには自分ができる範囲で相手のペースに飲まれない努力をしていくことが大切だ。相手のことを思いやれる優しい人ほど、サイコパスに狙われてしまう傾向がある。危ないと感じたときこそ「自分は自分だ」という強い意志を持ち、予防線を張っていってほしい。
文=古川諭香