床の水拭きがNGなのはなぜ? 年末にやってはいけない3つの大掃除
公開日:2018/12/25
今年もとうとう暮れゆく。つい先日、年が明けたはずが、いつの間にか季節が過ぎ去り、新しい年に向けて日本中が大忙しだ。読者にとって2018年はどんな一年だっただろう?
年末の風物詩といえば大掃除。今年の汚れと厄を落とし切り、新年を清々しい気持ちで迎えたい。ところが! 私たちは間違った掃除を毎日実践しているらしい。そう指摘するのが、『健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(松本忠男/扶桑社)だ。
本書は、病院清掃30年のプロが掃除の新常識を授ける1冊。その内容の一部を見てみよう。
「掃除のときに窓を開けて換気すると、病原ホコリが拡散するのでNG」
「床の水拭きは、きれいになるどころか菌を塗り広げるだけ」
「洗剤をつけてすぐこする掃除は効果が薄い」
うーむ…にわかに信じがたい。少なくとも上の2つは学校で習った掃除だ。学校の先生の言うことは大体正しいと思っていたのに…ショックが大きい。年末の大掃除で間違った方法を実践しないために、本書の内容をもう少し掘り下げたい。
■換気すると病原体濃度が高い“病原ホコリ”が舞う
私たちの目の敵であるホコリ。存在するだけで「うわぁ掃除しなきゃ」と思わせてくれる。そんなホコリは2種類に分けることができる。
まず1つが、新しいホコリだ。衣類をはじめとする繊維から生まれたばかりの彼らは比較的無害。そしてもう1つが、“病原ホコリ”だ。どの家庭にも存在する、テレビの裏やコンセントに挿した冷蔵庫のプラグにたまった“濃い灰色のホコリ”は、カビやダニなどが住み着いて爆発的に増殖。これを直接吸い込むと、免疫力の弱い人は咳や肺炎など呼吸器系を患うリスクがある。
そんなリスクがありながら、「さあ年末の大掃除だ!まずは換気!」と窓を開けてしまうと、病原ホコリが家中を舞い、呼吸によって肺に侵入してしまうのだ。場合によっては、新年から「ゴホ、ゴホ」咳をしかねない。
そこで、著者の松本忠男さんは、毎日ゆるーく掃除を続けることを提案。病原ホコリをためない“こまめな掃除”を訴えている。しかし、時すでに年末…。ここで本書より、年末の大掃除で使える“松本式”掃除テクニックをいくつかご紹介したい。
■“キズ”をつけるとより効果的に汚れが落ちる
掃除の基本は、ぞうきんによる拭き掃除だ。しかしただの水拭きは、雑菌を塗り広げてしまう。床の水拭きはもってのほか。そこで松本さんが提案するのが、“重曹水”の活用だ。重曹は、アルカリ性で油汚れや皮脂汚れの掃除に最適。年末の大掃除の味方だ。
まず、「80℃のお湯500ml」に「大さじ1杯の重曹」を加えて冷めるまで待つ。それを霧吹きで床に噴霧して3分放置。そのあとふき取れば、皮脂を含んだ床の足跡汚れなどに効くそうだ。
この重曹水は非常に便利で、冷蔵庫の取っ手の手あかにも効く。さらに、耐熱容器に「水200ml」と「大さじ1杯の重曹」を入れて、電子レンジ(600W)で3~5分加熱。20分間放置すると重曹を含んだ水蒸気が隅々まで行きわたり、庫内の汚れが簡単に落ちる。
また、年末の大掃除でありがちなのが、専用洗剤を使ってトイレや風呂場をこすり洗いしても全然落ちないこと。実はこれも間違った掃除法だ。洗剤が汚れに浸透していない状態で磨いても効果が薄い。松本さんによると、最低3分以上は放置して汚れに洗剤を浸透させてからしっかり洗ってほしいという。
また、より効果的な方法は、あらかじめスポンジやブラシでこすって、汚れに“キズ”をつけてから洗剤を流すこと。傷ついた汚れに洗剤が浸透して、トイレや風呂場がよりきれいに磨けるという。
本書はこれらの掃除テクニックを写真やイラスト付きで詳しく解説する。汚れがなかなか落ちなくて困っている人、定期的な掃除が苦手な人はぜひ参考にしてほしい。
2018年の汚れと厄は今年中に落としたい。忙しい時期の最後のひと踏ん張りが年末の大掃除だ。そして家中がきれいになった2019年は、汚れも厄も溜めないよう、毎日正しいお掃除を実践したいところだ。
文=いのうえゆきひろ