大泉洋、約5分にわたる静寂のスピーチ

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公開日:2018/12/28

 大泉洋が主演を務める映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の公開前夜祭が昨日12月27日に東京で行われ、大泉のほか、共演者の高畑充希、三浦春馬、前田哲監督が登壇した。

 壇上ではいつもの大泉洋らしい喋りが炸裂し、また高畑充希、三浦春馬ら共演者らと言葉の掛け合いも抜群。鏡開きにはお酒でなく「バナナジュース」が用意されるなど、多々笑いが散りばめられながら進行していたものの、今回のイベントは観客が「映画鑑賞後」に催されていたということもあって、ラスト5分以上にもわたり、大泉が真剣な表情で選んだ“締めの言葉”は、会場を静寂に包みこみ、観客たちから感動的な拍手が大泉らに贈られていた。その約5分のコメント以下。

「(主人公の)鹿野(靖明)さんに導かれ続けた撮影だったと思います。(劇中の)鹿野さんの部屋は、本当に鹿野さんが住んだ部屋でございました。撮影の期間中だけぽんと人が入っていなくて偶然、そこで撮影できたり。最後、美瑛で泊まった宿も本当に鹿野さんが泊まった宿でございました。
そして12月26日が(鹿野さんの)誕生日だったというのも、なんだかすごいな、と思うんですよね。
(以降~ネタバレにて中略・ぜひ劇場で)
彼のこの世の去り方も、改めて私はこの人を愛さずにはいられない。この人を演じられて本当に良かったなと思っております。
生きていれば59歳だったということで……。生きている間はお話できなかったので、鹿野さんと話をしてみたかったなという思いでいっぱいです。
いよいよ28日初日公開ということですが、鹿野さんがずっと言い続けた我がままというのは、動けない人たちの代弁だったと思うんですよね。
自分が動けないぶん、助けてほしい。助ければ普通の人と同じ、全く同じとは言えないまでも近いことができるという。そこを我慢して生きるよりも勇気をもって助けて言ってほしい、と鹿野さんはそういう思いを込めて我がままを言っていたんだと思います。

この映画を観ていただいて、“人に迷惑をかけない”ということが善とするなかでそれだけじゃないのかもな、という考えが少し伝わればいいなと思うし、皆様が考えるきっかけになればいいな、と思うし、最終的にこの映画が障がいを持つ皆様のためになればいいな、とやはり願っております。
メッセージ性が今回の映画は強いのかな、と思っておりますが、だけど気難しくなく、楽しく、爽やかな映画に出来上がっていると思いますので、どうぞ皆様、それぞれに多くの方に観ていただければ嬉しいですし、鹿野さんにも“たくさんの方に観てもらえたよ”と報告できるようにしたいな、と思っております。
あと少し、力を貸していただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします」(大泉洋

 大泉が「人生がかわる映画に出会えた」と話す今作。2018年彼は、『恋は雨上がりのように』、『焼肉ドラゴン』、『グリンチ』(声の吹き替え)と映画公開作が続き、さらにテレビでもスペシャルドラマ『黒井戸殺し』、『あにいもうと』と主演作が放送された。

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 2018年年末、ぜひそんな人気俳優の“渾身の力”を感じる今作を観に足を運んでほしい。
 鹿野靖明、34歳。重度の筋ジストロフィー患者。車いす生活の彼の唯一の武器は「しゃべること」。夜中なのに突然「バナナが食べたい」とボランティアのスタッフに言い出すところから始まるこの映画には、大泉自身が「どうしても演じたい」ほどに伝えたかった“メッセージ”が、劇中笑いと爽快な涙とともに、また“彼にしかできないお芝居”と熱量で、届けられている。

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映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』
原作:渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』(文春文庫刊)
監督:前田 哲
脚本:橋本裕志
出演:大泉 洋、高畑充希、三浦春馬ほか
配給:松竹
12月28日(金)全国ロードショー
公式サイト:http://bananakayo.jp/
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

●原作は大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を史上初めてダブル受賞。筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーでありながらも、夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと彼を支えるボランティアの人々と家族の姿を描いた人間ドラマ。