あなたのお好みの“方言男子”は? 『方言男子のつくり方』
更新日:2019/1/5
うちも東京来たときは驚いたんよ、みんな標準語で話しょうるじゃろ? 「ドラマのままじゃが!」ゆうてな、なんも思わんようになるまででーれーかかったわ(訳:私も東京に来たときは驚いたんですよ、みんな標準語で話しているでしょう? 「ドラマのままじゃないか!」なんてね、なにも思わなくなるまでとても時間がかかりましたよ)。
と、のっけから岡山弁全開でしたが、私も地方出身なので、この漫画の登場人物たちの気持ちがよくわかる!
『方言男子のつくり方』(マツモトトモ/白泉社)に登場する東北出身の賢嗣は、東京の大学に入学したばかり。
吊り革につかまるやり方さえ、生まれ育った土地とは違う気がする。でも、賢嗣は、思ったことを表に出すのが苦手な東北人。それを他人に話せない。高校の同級生で同じ大学に進学した女子・あやみにさえ、好意を伝えられずにいるくらいなのだ。方言だっておおっぴらには使わないし、宴会だって嫌い、余興をやるなんてもってのほか。それなのに…。
それらすべてを、軽々とやってのけるヤツが現れた。方言丸出し、かつ驚異的な押しの強さの九州人、郁弥だ。
育った地方が違えば文化も違うのか、郁弥には賢嗣なりのコミュニケーションが通じない。あやみとも速攻で距離を詰めてしまった郁弥に、内心動揺する賢嗣。そんなある夜、賢嗣のもとに、あやみから初めての電話がかかってくる。彼女の相談を聞くだけでもうれしい賢嗣だったが、一方で郁弥は、あやみが落ち込んでいると知るやいなや、行動を起こしていて──?
生まれ育った地域はもちろんのこと、ふと違う生活圏に足を踏み入れたとき、ギャップに驚くことはわりとある。たとえば違う学部の授業にもぐり込んだとき、違う業界に転職したとき。あっちの世界の常識が、こっちの世界では非常識になる。前にいた場所では使い古された発想が、今いるところでは革新的なアイディアになる。だからこそ、人と人とが出会い、交流を深めることには楽しみがあるのだ。「方言ってカワイイ」という感覚は、そのあたりが本能的にわかっている証拠なのかもしれない。
東北人や九州人のほかにも、おおらかな北海道民、義理人情に厚い大阪人、スマートな東京っ子など、登場人物の生まれや育ちはバラエティー豊か。あなたと出身地方が同じキャラクターも登場するかも!?
ちなみに私、京都弁や静岡弁も好きです。できるなら、47都道府県ぜんぶの方言男子漫画を読んでみたい! マツモト先生、期待しとります!(期待しています!)
文=三田ゆき