“ゲイ婚活”の助っ人「同性愛者パートナーサービス」の実態とは?
公開日:2019/1/2
ゲイの友人たちは皆一様に、「パートナーが見つからない」と嘆いている。同性愛者であることをカミングアウトする人も増えてきてはいるが、まだまだ「家族にも友人にも隠している」という人が多い。そうなると必然的に、パートナー探しが難航する。『ぼくのはじめてゲイ婚活』(飯田ヒロキ:原案、晴川シンタ:マンガ/KADOKAWA)の飯田さん(27歳)もそのうちのひとり。オタクで引っ込み思案な彼は、恋愛経験がない。本書はそんな彼の婚活ルポだ。
飯田さんは言う。「(恋愛についての)情報の無さやセクシャリティをひた隠しにしなければならないという罪の意識から、アプリやSNSなどの短絡的な手段を利用してしまう人も多く、僕もそのうちの一人でした」。そしてアプリでの出会いの特性上、性衝動の発露が第一目的になってしまい、恋愛について未成熟なまま行為に及んでしまっていたという。そんな自分に疑問を感じた飯田さんが選んだのは、「同性愛者向けのパートナー紹介サービス」だった。
耳慣れない言葉だが、基本的には異性愛者向けのサービスと変わらない。まずサイトにアクセスし、相談所でカウンセリングを受ける。すると毎月、お相手候補を紹介され、ご対面となる。個人情報保護は徹底しており、写真はネット上には載せず、来店して見るシステムになっている。コンシェルジュの田岡さん曰く、「お見合い(面会)率は同性の方のほうが多い」という。女性は男性に対する書類選考が厳しく、お見合いにまで至らないケースが多いのだ。
元々、男女の結婚相談所に勤めていた田岡さんは、「親から勧められたが実はゲイ」「登録してゲイだということに気づいた」といった人に多く出会う。もしかしたらわたしたちのノウハウを役立ててくれる人がいるのではと、会社を設立した。パートナーが見つからないと嘆く男性たちに、「男女となんら変わりはない」ということを伝えたいという。
さて、さまざまなタイプの男性とお見合いした飯田さん。意識高い系ゲイ、ゲイであることにオープンな「シャイニーゲイ」(※友達が多く、アクティブに遊んだりオシャレな生活を送っていたりする、「キラキラ女子」のようなゲイ)…。しかしなかなか自分と合う男性と巡り会えない。それでも飯田さんは婚活をすることで、大きく成長していく。
昔、恋愛の右も左も分からなかった自分が、こうやって誰かのことを考えるようになったこと。婚活をすることで知れたのは、他でもない「自分」のことでした。いろんな人と出会う度、僕は新しい自分を見つけていくんだと思います。
成婚への道のりは険しい。しかしそれは、男女の婚活でも同じこと。大事なのは、自分と向き合うことなのだと、本書は教えてくれる。現在、婚活中の異性愛者も、飯田さんのゲイ婚活ルポを読めば、「恋愛とは、結婚とはどういうものか?」という基本に立ち返ることができるはず。婚活するすべての人にオススメの1冊だ。
文=水野シンパシー