フィギュア宇野昌磨選手の秘密に迫る!弟しか知らない兄の素顔とは?
公開日:2019/1/11
2018年12月20日(木)から、5日間にわたって行われた全日本フィギュアスケート選手権大会。日本のトップ選手が集結した熾烈な戦いを制し、見事男子シングルの金メダルに輝いたのが宇野昌磨選手。平昌オリンピックでは羽生選手に次いで銀メダルを獲得。今年21歳になったばかりのまだまだ“伸び盛り”で、2022年の北京オリンピックでもメダル獲得が期待される注目株だ。
いつもそばにいる弟だから語れる宇野選手の素の姿
オリンピックでメダルを獲るほどのフィギュアスケート選手なら、さぞかしストイックな生活を送っているのだろう。いつも緊張したオーラを纏っているのではと想像する私たちに、宇野選手の飾らない素顔を明かしてくれたのが、4つ歳下の弟・宇野 樹さんだ。著書『兄・宇野昌磨 弟だけが知っている秘密の昌磨』(マガジンハウス)は、「伝えられている昌磨の姿と、僕の抱いている像とでは、どこか違っている気がすることがある」「昌磨の姿を知ってほしい」という一心で執筆したといい、宇野選手も撮影やインタビューに参加している。
弟が自分の幼少期から現在にいたるまでのエピソードを語る本を出すなんて、まだ若い宇野選手にとっては恥ずかしいのでは?とおせっかいな想像をしてしまうが、本書のために撮り下ろした樹さんとの2ショットグラビアや、趣味のゲームや好きなタイプを聞いた一問一答コーナーなど、どれも宇野選手本人が積極的に、楽しそうに取り組んでいるのが印象的だ。試合では見られない柔らかな笑顔も多く見られ、そんな姿を見られるだけでも樹さんを深く信頼し、強い絆で結ばれていることがよくわかる。
弟・樹さんにとって宇野選手は一方的に支える関係ではなく“ゲーム仲間”
本書で披露されている数々のエピソードには、“弟しかしらない宇野選手の姿”が満載。その中でも2人の絆をよく表しているのが、宇野選手と樹さんが、大事な試合の前も一緒に過ごすことが多いという話だ。よく国際試合に帯同する樹さんだが、実は宇野選手の演技はあまり見ない。「昌磨に対しては、スケーターとしてというより、ゲーム仲間みたいな感覚の方が強いかもしれない」。
ホテルの部屋で、練習中の宇野選手を待つ間も、宇野選手のコンディションや翌日の演技の出来のことは考えておらず、「いつゲームができるかな」くらいの感覚でいるそうだ。宇野選手もスケートのことを語らず、いつも通りのふるまいなのだそう。試合の前でもリラックスしていられるのは、樹さんが過度に心配して特別扱いしないところに、心地よさを感じているからなのだろう。
平昌オリンピックの後、宇野選手が樹さんにかけた“第一声”は…
いつもは演技を見ない樹さんも観戦し、「特別だった」という平昌オリンピックでさえ、宇野選手にとってはいつもの試合のひとつだったようだ。試合後、樹さんが「おめでとう」と声をかけると、宇野選手はなんと、「ゲームやろう」と答えたという。
“魔物が棲む”と言われるオリンピックでさえも、数ある試合のひとつとして捉えられる強さに、超人なのではないかと驚いてしまうが、決して鈍感なのではない。仲のよい友人が泣いていたら、声をかけずにずっと寄り添う優しい一面もあると、樹さんは語る。
指先にいたるまで美しい所作や、まなざしに込められた奥行きのある感情。繊細な演技力を評価される宇野選手のスケートは、彼自身の人の気持ちを思いやる感受性の豊かさから築かれたものなのかもしれない。これから数々の試合での活躍が期待される宇野選手。本書を読んで、彼の人となりを感じながら試合を観戦するのも、楽しいだろう。
文=箕浦 梢