仕事とプライベートの「境界線」はどこ? 頑張りすぎる女性のための“マイルール” 

ビジネス

公開日:2019/1/15

『仕事とちょうどいい距離感になるためのマイルール』(マーリー・グレイス:著、白川部君江:訳/キノブックス)

 ライターという仕事柄、仕事とプライベートの境がまったくない。女子会をしていても会話の内容を記事に書くし、本を読んでいて面白いと思えばレビューを書く(本記事もしかり)。24時間、365日、仕事のことを考えている。仕事は好きなので苦にはならないが、たまには仕事を完全に忘れて、人生を楽しみたいと思ったりもする。

 そこで手に取ったのが、『仕事とちょうどいい距離感になるためのマイルール』(マーリー・グレイス:著、白川部君江:訳/キノブックス)。働き方の講演やワークショップを行っている著者だが、ダンス、コミュニティ活動、著述、ポッドキャストなど、多くのクリエイティブな仕事に取り組み、まさに「仕事とプライベートの境がない」人だ。

 仕事とプライベートの境界線を引くときに、最も効果的なのはなにか? それは「自分の仕事を明確にすること」だと著者は言う。一口に仕事と言っても、自分の目的のためにする仕事(work)と、職業あるいは義務としてこなす仕事(job)は必ずしも一致しない。まずはそこをはっきりさせることが重要だ。

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 しかしお気づきの通り、仕事には「グレーゾーン」がある。著者は「すべての仕事の中から自分が仕事だと“感じない”もの」を、グレーゾーンと定義している。わたしの場合だと、女子会に参加するのは仕事ではない。しかしその内容について記事を書くとなれば、それは仕事である。それでは、「女子会で拾った面白いネタを編集者にメールする」のは仕事だろうか? “企画出し”だと捉えれば仕事だし、純粋に“だれかと共有したい”のなら仕事ではない。こうしたグレーゾーンこそ、「リスペクトすべき」だと著者は言う。

 どうすればグレーゾーンをリスペクトできるのか? 著者がオススメするのは、「スマートフォンの電源を切り、だれにも告げずに一人で外に出掛けること」だ。美味しいスイーツを食べたらスマートフォンで写真を撮って、Instagramにアップ。綺麗なイルミネーションを見たら、Instagramにアップ。心から楽しいと思えるのならいいのだが、義務感を抱くようであれば、それはもはや「仕事」である(芸能人やモデルなどは、仕事として割り切ってやっている人も多いだろう)。

 スマートフォンやパソコンの電源は、できるだけ午前10時までオフにする。午前7~10時は、1日の内で最も効率よく仕事ができる時間帯だからだ。スマートフォン中毒を克服する方法として、著者は「要らないアプリを捨てる」「スマートフォンをしまっておく箱を用意する」などを挙げている。わたしも以前はスマートフォン中毒だったが、アプリを片っ端から削除したことで、いまはSNSもほとんど見なくなった。ぜひ実践してほしい。

 本書には、仕事とプライベートを切り離すことで、仕事、プライベート、それぞれを存分にリスペクトし、日々を楽しむためのヒントが詰まっている。「プライベートがない!」と嘆く頑張り屋の現代女性にとって必読書と言えるだろう。

文=水野シンパシー