小松菜のおひたしはゆでないで、凍らせる?! 意外と知らない、食材の正しい扱い方
公開日:2019/1/24
普段から料理をしている人でも、ちゃんと料理の勉強をしている人は少ない。「何となくこうした方が良さそう」「ネットで見た」「みんなこうしてるし…」と曖昧な理由で続けている調理法も多いはずだ。しかしその一般的な常識は、実は間違っていることも多々あるのだとか。『栄養と味、9割も損してる! 残念な料理』(ホームライフ取材班/青春出版社)は、そんな間違いを正し、食材が持つ栄養やおいしさをしっかり引き出そうという本。
例えば、野菜の調理法について。ブロッコリーを茹でる手順といえば、小房に分けてそのまま塩入りの沸騰したお湯に入れるのが一般的だ。しかし、これではほとんど摂取できない栄養素があるらしい。スルフォラファンという、体内に入った化学物質を解毒し、抗酸化力を高める抗がん作用がある栄養素だ。これは調理前のブロッコリーにはない成分で、包丁で切られるなど細胞を傷つけられることでミロシナーゼという酵素と触れて発生する。
だが熱に弱いため、これを増やすには茹でるまでに常温で少し置く必要がある。ブロッコリーを調理する際には、熱でこの成分が消滅してしまわないよう、常温で5分ほど置いてこの成分を増やすといいそうだ。ブロッコリー以外に玉ねぎやトマトも、加熱前の段階でワンクッション置くと特定の栄養素がアップする。
ほかにも驚きだったのが、小松菜の調理方法。小松菜のおひたしというと、ほうれん草のように茹でて作る工程を想像する。だが本書で勧めているのは、茹でないおひたし。なんと小松菜を生のまま冷凍し、自然解凍してそのまま味つけするというものだ。凍らせることで細胞壁が壊れて茹でたかのように柔らかくなり、それでいて水溶性のビタミンCが溶けだすこともないというわけだ。茹でる手間が省けるうえに栄養もそのままという、まさに一石二鳥の調理法。これはぜひとも実践したい。
これ以外にも、炒飯は木べらではなくお玉を使うと手早く混ぜられる、お弁当のおかずのとろみは片栗粉ではなくコーンスターチを使う、にんじんのベータカロテンは炒め物にするより煮物の方が摂取できるなど、今までの常識を覆されるような情報が満載。たしかにテレビなどでプロの中華料理人が炒飯を作るところを見ていると、木べらではなくお玉で作っている。
この『栄養と味、9割も損してる! 残念な料理』を読んでいると、日常で信じ込んでいる調理法がいかに“損をする調理法”であるかを痛感する。食材が持つ栄養や味は、せっかくならできる限り最良の状態でいただきたい。「ちゃんとレシピ通り作ってるはずなのになぜかイマイチ…」「栄養がちゃんと摂れているのか不安」という人は、一度本書を読み、正しい調理ができているか一つひとつチェックしてみると、意外な勘違いに気づくかもしれない。
文=月乃雫