運命は自分で切り開くもの! 精霊(オリチャ)から欲しいエネルギーを得て、2019年を良い年に!

暮らし

公開日:2019/2/4

『オリチャ占い 2019年度版』(越川芳明/猿江商會)

 2018年の今年の漢字は「災」だった。

 地震や大雨など災害続きの1年だったが、先行き不透明ななか、果たして2019年は世の中はどんな1年になるのか。それ以前に自分は、どんな1年を過ごせるのか。不安で仕方がないから占いにでも頼りたい――。

 そんな風に年明けから弱気になっている人にピッタリなのが、『オリチャ占い 2019年度版』(越川芳明/猿江商會)だ。

advertisement

「オリチャ」とは精霊のことで、キューバに伝わるサンテリアという宗教の世界には、運勢に深く関与している無数の精霊(オリチャ)が存在していると言われる。この中からパートナーにしたいオリチャを選べば、2019年の運勢がわかるというものだ。

 同書で紹介されているオリチャは8キャラクターで、それぞれ外見も個性も異なっている。その中から目に付いたオリチャの「○月の運勢」を見ていけば、その月をどう過ごせばいいのかのアドバイスが得られる。

▲ババルアイェ……難病や伝染病の治癒をつかさどる

▲エレグア……旅行や移動をつかさどる

▲オバタラ……平和、秩序、頭脳をつかさどる

▲オグン……鉄、産業文明をつかさどる

▲オチョシ……狩猟、裁判や心のケア、犯罪防止をつかさどる

▲オチュン……恋愛、結婚、お金をつかさどる

▲チャンゴー……雷や稲妻と生殖をつかさどる

▲イェマヤー……母親のような深い愛情、妊娠、出産をつかさどる

 逆に言えば強化したい要素を持つオリチャを、自分から選ぶこともできる。星占いやその他の占いでは属性を変えることはできないため、たとえばいくらおひつじ座に良いことが書いてあったとしても、他の星座の人がおひつじ座になることはできない。しかしオリチャは、自分の好きに選ぶことができる。占いでありながらもパワースポットやパワーストーンのように、目に見えないものから欲しいエネルギーを得るという占いなのだ。

 著者の越川芳明さんはなんと、ラグビーの名門・明治大学の副学長だ。英米文学や現代アメリカ文学を研究するかたわら、2009年にキューバでサンテリアの最高司祭(ババラウォ)と出会って弟子入りし、自身もババラウォになってしまった。

 ナイジェリアのヨルバ族に伝わる「イファ」という占いがオリチャ占いの根幹にあたるのだが、奴隷として連れてこられた人たちによってカトリック信仰などと混交しながら「サンテリア」となり、キューバに広まっていった。越川さんによるとキューバでは身ぐるみをはがされ、家族とも離れ離れになった人たちの「身の上相談」を受けてアドバイスするのがババラウォの役割だから、ババラウォによる占いは家族関係が希薄化して、孤立化が進む現代の日本でも重要な機能を果たすという。そして運勢は常に変化するものだから、良い波には乗り、悪い波は回避する。オリチャ達による指示を聞いて、良い波がやってくるのを待ってほしいそうだ。運勢は誰かに占ってもらったものをただ受け入れるのではなく、自分で掴むもの。まさにそのためのガイド役が「オリチャ」なのだ。

 ちなみに2018年に秋田のなまはげがユネスコの無形文化遺産に登録されたが、イファ占いもナイジェリアで、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。

 占いの結果を見て一喜一憂するのではなく、オリチャとともに自分で運命を切り開いていく。そうすることで2019年がどんな1年になろうとも、明るく過ごせるのではないだろうか。

文=霧隠 彩子