「一生、困らない人」はどんな準備をしてる? 腹黒くないFPが教える「保険」で損しない方法
公開日:2019/2/4
老後の生活費や貯蓄、家の購入など、お金の悩みを抱えているなら、『腹黒くないFPが教えるお金の授業 「一生、困らない人」はどんな準備をしている?』(岩城みずほ:著、石川恭子:イラスト/三笠書房)が解決してくれる。 本書では、FP(ファイナンシャルプランナー)がなかなか言えない“本当のところ”をズバリと教えている。
腹黒くないFPとは、著者が、相談者に特定の金融商品を売らないこと、常に顧客本位であることを経済評論家の山崎元氏に評価され、命名された名誉な肩書。そのため、情報発信の際にも、どんな商品にもくみしないことを信条としているそうだ。
そこで、本書から特に知っておきたい内容をピックアップしてみた。
■“保障”も“貯蓄”も、保険でカバーしてない?
「もしものため」の対策として一番有効なのは、貯蓄を増やすこと。保険は、持ち方次第では家計を逼迫させることもある。ただ、貯蓄は一気に増やせないので、たとえば子供が小さいうちは、生命保険に入ることも大切だ。
実際、「契約時は平気だったけれど、保険料の支払いがだんだん負担になって貯蓄できない」といった相談に来る人も多いそうだ。つまり、毎月の保険料を支払うと貯蓄にまわせるお金がない、いわゆる保険貧乏の状態に陥っている人が少なくない。
「必要最低限の保障をなるべく安い保険料で持つ」のが正しいというが、保険貧乏の人には共通点があった。それは、全てのリスクを保険でカバーしようとして、あれもこれもと入りすぎている点。今の超低金利時代、保険ではお金は増えないと覚えておきたい。
そして、実は保険に入らなくても大丈夫なくらい“公的”な保障がある。まず、保険を上手に使うための基本的な考え方を知っておこう。
(1)病気や障がい、死亡といったリスクに対して、私たちはすでに公的保障で守られていると知ること
(2)“保障”と“貯蓄”を別に考えること
公的保障は、会社員なら、毎月の給料から決して少なくない額が天引きされる健康保険や厚生年金などの社会保険料のこと。給与明細や源泉徴収票で、自分がどれだけ支払っているかがわかる。
「私的保険は、公的保障で足りない分を補うために必要最低限、加入する」が上手な保険の持ち方という。
■医療費の自己負担額、実はこんなに少ない!? 高額療養費制度とは?
公的医療保険、いわゆる健康保険は、通常、病院にかかった際、私たちの窓口負担は3割ですむ。さらに、医療費が高額になった月には、高額療養費制度が利用できる。
この制度を知らない人も多いようだが、たとえば、医療費がひと月で100万円かかったら、窓口負担(3割)は30万円になる。でも、そのうちの21万2570円は高額療養費として払い戻しがあるため、実際の自己負担額は、8万7430円!(70歳未満で、年収約370~770万円の人の場合。2018年8月診療分から)
ひと月の自己負担の上限額を超えた場合、その超えた金額が支給される(支給額は年齢、所得状況等による)。また、自己負担軽減のため、健康保険組合の中には、独自の給付(付加給付)がある場合も。
もし治療が長引いて、直近12ヵ月間にすでに3ヵ月以上、高額療養費の支給を受けている場合、その月(4ヵ月目)以降の負担の上限額はなんと4万4400円にまで下がるそうだ。高額療養費の支給対象にならないのは、患者の希望による差額ベッド代や先進医療、入院時の食事代、自由診療に当たる治療があるが、やはり公的医療保険はかなり充実している。
万が一入院しても、ある程度の貯蓄があれば、安心だろう。公的医療保険制度は、かなり手厚いセーフティネットなのである。
そのほか本書では、おひとりさまの現実、年金を増やす方法、確定拠出年金やNISA、ローンのことなど、一見難しそうなお金の話でも、丁寧にわかりやすく説明されている。知らないと損! 得する情報がぎゅっと詰まっている。
文=Sachiko