かつて120着あった服が“12着”に! カリスマミニマリスト・すずひさんの暮らしのすべて
公開日:2019/2/7
いつも何かをほしがり、ものに依存し、他人の視線や評価が気になって仕方ない「他人軸」な、こんな暮らしのままで、人生のままで……本当にいいの?
こう自分に問いかけたことを、初の著書『1日1捨 ミニマルな暮らしが続く理由』(KADOKAWA)のエピローグで明かす、人気ブロガー、ミニマリストのすずひさん。
うんうんと、思わずうなずいている方、多いのではないでしょうか。
姿なきライバルと争うかのように買い集めた服や小物、インテリア雑貨などで、気づけば我が家は物置状態。そして、問題はここから。
囲まれたものたちが、どれもこれも好きでたまらないなら、まだ物置も納得。しかし、多くの場合、着るわけでも使うわけでもなく、単に捨てられずにいるがための結果、というのが実情ではないでしょうか。
ああ、ミニマリストになりたい。スッキリとした部屋、玄関、キッチン、リビングで過ごしたい。自分にとって本当に大切なわずかなものたちだけに囲まれ、それらを大事にして生きていきたい……。
そんなワナビー・ミニマリストにとって、すずひさんのミニマリスト・スピリットがあふれる本書は、まさにバイブル。
家全体に対していかに「捨てる」を実践していくか、数々の苦労談を交えながらも、すずひさんが体験的に学び取った「捨てる哲学」が、ギュッと詰まった一冊です。
中でもなんといってもスゴイのは「12着」ですよ、みなさん。ザッツ・オールです。かつては120着はあったというすずひさんの衣類。それが現在は、オールシーズン合わせて計12着。それらの服をすずひさんは愛情込めて、「迷いや妥協やタンスの肥やしの一切ない、わたしの選んだ精鋭たち」と表現しています。
それだけの服で室内での普段着から、外出用もコーディネイトされているそうです。そんな12着だけの衣類で暮らす日々の快適ぶりを著者はこう記します。
服が少ないことって、無条件に快適です。管理・維持・収納に工夫は不要。
(中略)
服がたくさんありすぎると、洗って片づけた後、次にそれを着るのはずっと先になってしまうでしょう? だから、タンスを着ているみたいだった。その頃のわたしの服は、「息が止まっている感じ」でした。
でも、今は。服そのものが呼吸している感じ。ちゃんと生きている感じ。しょっちゅう洗濯して、いつも清潔で。だから、どの服を着ても、とても気持ちがいい。(本書より引用)
本書には、その厳選された大好き衣類たちが写真付きで紹介されていますので、気になる方はぜひ、チェックしてみてくださいね。
ただし、すずひさんは「12着に絞るのが正解」と主張されているわけではありません。この数は、専業主婦という立場にあるすずひさんにとって「これで十分」なのであって、人それぞれ、自分に合った適正数に絞り込めばいい、ということなのです。
もちろん衣類だけではありません。玄関、リビング、キッチンなど、いたるところから不要なものたちを排除したすずひさん。その結果、どんな変化を体験したのか、ここはなかなかな興味深いところです。
「捨てる」作業を通して感じたのは、感情をふさいでいた「栓」が抜けた、という不思議な感覚。たくさんのものを手放したことで、心がとても「楽」になりました。
「感情の詰まり」が抜けたような、この感覚。ものを捨ててガラーンとなった部屋を、風がスーッと通り抜けるのと、とてもよく似ている。(本書より引用)
ミニマリストになる以前は「怒ってばかりいました」と明かすすずひさん。それが捨てる作業をしていく中で、自分と向き合うようになり、自分の「身のほど」を思い知ったそうです。そして感情に変化が生まれ、「家族との関係にも嬉しい変化がたくさん起こり始めました」と綴っています。
どうやら、家や仕事場など、空間を整理していくことで、心も整っていくようです。
そんなミニマリストの奥深い世界を、ぜひ、本書でご堪能くださいませ。
文=松本ひろ子