イライラさせる人を「相手にしない」のがいい理由。95の怒らないコツを一挙紹介

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公開日:2019/2/7

『怒らないコツ 「ゆるせない」が消える95のことば』(植西 聰/自由国民社)

 ブッダは「怒ってはいけない。怒りを鎮めるためには、知恵が必要だ」と説いたという。

 人間は知恵があるからこそ日頃怒ることもあれば、逆に、知恵があるからこそその怒りに対処することもできる。『怒らないコツ 「ゆるせない」が消える95のことば』(植西 聰/自由国民社)は、心理カウンセラーである著者が「怒らないための知恵」について、さまざまなシチュエーションを挙げながら幅広く紹介してくれる1冊だ。

 仏教には「三毒(人生に不幸をもたらす3つの毒)」というものがあるという。その3つとは「貪(とん)」=欲張り、「瞋(じん)」=怒り、「痴(ち)」=愚かさのことだ。怒りは人生に損を生む。怒りの感情に身を任せるとその一時はスッキリするかもしれないが、その後モヤモヤと悩み始めたり、結果的に人間関係や仕事を壊してしまったりする可能性もある。それでは、怒らないコツには一体どういうものがあるのだろうか?

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■カチンとくることがあっても、すぐに反応しない

 心理学には「ディレイ・テクニック」というものがあるという。「反応を遅らせることで、怒りが生じるのを抑える」というものである。カチンと感じることがあっても、すぐには反応せず、もう少し長く相手の話を聞くこと。そうすると相手の気持ちや考え、立場に気づくことができるという。相手の話を折らずに怒りを出すのを少し待ってみることで、怒りをおさえることができるだろう。

■口ゲンカを売られても、「相手にしない」ほうがいい理由

 ブッダは自分に悪口を言った相手に以下のように言い返したという。

「あなたが口論をして勝ったとしても、嫌な思いが増すだけだろう。口論をして負けた者は、悔しさで夜も眠れなくなる。私は、勝ち負けという観念を捨て去っている。だから心安らかでいられる」。

「相手にしない」というのは賢明な対処法だ。誰かと張り合うと、そのことに無駄なエネルギーを使ってしまい、自分の気力がどんどん失われていく。今までイヤイヤ付き合ってきた人との関係を、今一度見直してみるのもいいかもしれない。

■余裕がある時には「喜んで捨てる」という精神を持つ

 本書によると、我欲(自分の利益だけを目指す欲望)の強い人は、自分が持っているモノを絶対に他人に譲ろうとはしないという。仏教には「喜捨(きしゃ)」=喜んで捨てる、という言葉がある。喜捨の精神を持っていると、心に余裕ができ、安らぎを得られるそうだ。

 生活に余裕がある時には、必要ないものを見直して誰かに譲ったり、ボランティア団体に寄付したりするのもいいだろう。物理的にスペースをつくることで、心にも余裕を作ることができる。こうやって、モヤモヤを逃がしてみよう。

 本書の最後では古代中国の思想家・老子の言葉が紹介されている。「上善(じょうぜん)、水の如し」という言葉である。上善とは「最高の生き方」を意味する。つまり、「すぐれた最高の生き方とは、水のように生きること」という言葉だ。水は高い方から低い方に素直に流れていき、器の形に合わせて形を変え、さらには万物に恵みを与える。人間も、そのように絶えず柔軟で豊かな生き方を心がけることができれば、イライラや小さな怒りに翻弄されてしまうこともないだろう。

 知恵を持って怒りを「水のように」流していくこと、それがストレスのない人生に繫がっていくことだろう。

文=ジョセート