SNS女子の壮絶なマウント合戦…エスカレートする承認欲求、パパ活、幸せを人と比べる醜さを体感する話題の作品がいよいよ完結!

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更新日:2019/3/9

ゴミ屋敷とトイプードルと私 #港区会デビュー
『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #港区会デビュー』(池田ユキオ/小学館)

 InstagramやFacebookなどのSNSがリア充アピールツールとしても広まったことで、“SNS上の自分”を演出するために現実の自分を合わせていく、という生活スタイルが生まれた。SNS映えを狙うために行動は時にエスカレートし、その様子はネット上でも度々話題になっている。『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #港区会デビュー』(池田ユキオ/小学館)は、そんな“見せるための自分”や“キラキラした自分”、そしてSNS上での“反応”にはまっていく、悲惨な女たちの物語。

 主人公である西村沙耶(サヤ)は、SNS「フォトスタグラム」にはまっている、広告代理店「電報堂」のOL。人に注目されるのが大好きなサヤは、イケメンで仕事もできるみんなの憧れ・徳井康介からプロポーズされ、たくさんの人に羨望の眼差しを向けられ、幸せの絶頂にいた。最初は、そんな自分にそれなりに満足していた。だが営業部に異動になり、サヤは新しい世界を知ることになる。

 営業部の美人女番長・林田詩織に、六本木のとある“会員制異業種交流会”に誘われたのだ。そこは、超大手企業の社長やモデル、有名CMプランナーなどが集う“特別な場所”だった。キラキラとしたセレブ感溢れるその場所は、まさにサヤの憧れる理想そのもの。サヤはその世界にはまっていった。だが、憧れの超セレブ生活を送っているフォトスタグラマー「misaki」に近づいている、自分もそっちへいけるという感覚が、彼女を狂わせていく。

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 詩織に「みんなやっていることだよ」と言われ、サヤは“キラキラした自分”のために“パパ活”と称される行為に溺れていく。既婚男性と体の関係を持ち、その見返りとしてプレゼントやセレブな生活、そして仕事を手に入れていった。自分は普通の人とは違う特別な世界に入れたのだと、サヤは大切だったはずの婚約者まで邪険に扱うようになっていく。

 しかしサヤが手に入れたと思った生活は、いわゆる“港区女子”のマウント合戦に引きずり込まれたにすぎないものだった。そしてこのあたりから、サヤの行動や理想とする自分、承認欲求、SNSへのキラキラ投稿は急速にエスカレートし、そしてほころびを見せ始める――。

 華やかな世界にいきたい、幸せになりたいという願望は、多くの人が持っているもの。それ自体は活力になったり、向上心を維持するエネルギーになったりと決して悪いことではない。だがそれが“人より”華やかに、“人より”幸せに、になった途端、それは醜い争いに変わるのかもしれない。

 この『ゴミ屋敷とトイプードルと私 #港区会デビュー』は、先日1月25日に発売した話でついに完結となり、衝撃の結末を迎える。この“女の戦い”で勝ったのは? 事の真相は? サヤの行く末は? SNSにどっぷりはまっている方、人と比べることで幸せを感じようとする方、心当たりはありませんか?

文=きこなび(月乃雫)