せっかく読んだビジネス書や自己啓発本、その効果は出てますか? 読後すぐにやるべき“TTP”とは
公開日:2019/2/8
書店には、成功者や専門家たちの本がズラリと並んでいる。「今より年収を上げたい」「ステキな恋がしたい」「ずっと健康で暮らしたい」――。自分の悩みにそった本を手に取り、その中に解決のためのヒントがあることを期待する。こうした本を読み、「なるほど、こうすればいいのか」と理解するまではそうむずかしくない。だが、その内容を“実行する”――それも継続的に、となると、途端に難易度は跳ね上がる。私たちは、長年染みついた価値観、行動基準、習慣をそう簡単に変えることはできない。それでも、“自分を変えたい”という強い意志があるのなら、本書『「すぐやる人」の読書術』(塚本 亮/明日香出版社)を読んでほしい。本書は、本を読むだけでは終わらず、それをもとに自分をアップデートするための読書術を紹介している。
■フォーカス&ジャンプで未知の情報を取り込む
まずは、本書から効率の良い本の読み方を1つ紹介する。それは、“フォーカス&ジャンプ”という方法だ。速読のように均等に速く読むのではなく、緩急をつけて自分の知りたいところ、理解したいところだけをじっくり読む。ビジネス書や自己啓発本は、小説のように全ての文章を読み、細部の表現までを楽しむ必要はない。あくまで自分の目的意識にそいながら、未知の情報を効率よく摂取したい。特に、同ジャンルの本を複数冊読んでいると、「別の本でも同じようなことを言ってたな」という箇所が頻出する。そういう部分はスッと飛ばし、次の見出しに目を向ければいい。
■読後、まずやるべきは…“TTP”
そうして本の内容を効率よく理解したら、いよいよ“実行”の段階に移る。著者がまずやるべきだと主張しているのは、“TTP”――“徹底的にパクる”だ。目的のために新しい行動習慣を身に着けたいときは、まず1回、本に書かれている内容を完璧にマネる。その後、それがうまくいったか、いかなかったかを検証し、その結果次第で行動をさらに改善すればいい。
それと同時に、その習慣自体を定着させるための工夫も必要だ。TTPの結果、これは効果が出そうだと感じたものは、実行のための具体的な目標設定をしよう。たとえば、時間術の本を読んで「日曜日の夜に次の1週間の計画を立てましょう」というアイデアを実践したければ、まず10回続けることを目標にし、10週分のスケジュール帳に記入する。「部下といい関係を築くために結果ではなくプロセスに意識を向けましょう」という言葉を実践するなら、毎日1回それを意識することを目標にし、できた日とできなかった日を記録する。まずは一度トライし、その後に目標を立てて習慣化しよう。
本は、あらゆる悩みに通ずる扉である。私たちが日々の生活の中で感じる課題や葛藤を、すでに先人たちは長い時間をかけて考えている。そこに書かれている“答え”が、自分にとっても正解であるとは限らない。だが、私たちはその分の思考を“ショートカット”し、より少ないトライ&エラーで正解にたどり着くことができる。それは、本というメディアが持つとても大きな魅力のひとつだ。
文=中川 凌