「サッカー大好き」のメソッドを勉強にも!やる気を引き出す鍵は”しつもん”にあった
公開日:2019/2/16
子どものころ、親に「勉強しなさい」と言われることほど嫌なことはなかった。今になって振り返ってみれば、だらけた自分をみて親がそう言いたくなる気持ちはわかる。だが、その言葉でそのとき自分が熱中しているもの(ゲームやアニメ)を邪魔されると、どうにも気分が悪くなってしまう。その結果が「わかってるよ!」「今からやろうと思ってた!」という不機嫌な返事につながるのだが、それは親からすると「ほんとうに?」としか思えないだろう。
本書『サッカー大好きな子どもが勉強も好きになる本』(藤代圭一/ジービー)は、そんな悩める親たちの強い味方だ。著者は、さまざまなスポーツチームのメンタルコーチを務める藤代圭一さん。考える力を育む「しつもんトレーニング」を考案し、それをスポーツチームだけでなく、子どもの教育に応用し、現役の教師たちから絶賛されている。本書は、こうして生まれた藤代さんの“しつもんメソッド”をマンガと文章で紹介。早速、内容を見てみよう。
■なぜ“しつもん”が有効なのか?
藤代さんは、「『しつもんメソッド』は、子どもに問いかけることで考える機会を与える教育法です」と語る。すなわち、子どもに対して「あれをやりなさい!」と上から締め付けるのではなく、「この後はどんな予定?」「どうすればうまくいくと思う?」と質問し、子どもが“自分で考える”ように誘導するのだ。こうすることで子どものやる気を削ぐことなく、自分で「やらなくちゃ」「やりたい」と思えるようになる。
そして、目先の正解・不正解にはこだわらなくてもいいという。大切なのは、自分でものを考えられる子どもになること。親の指示を守るだけの子どもは、親にとっては都合がいいかもしれないが、自発的な「あれをやりたい」という気持ちを持てなくなる。さらに、将来子どもが就職したとき、上司の指示を聞くだけの“指示待ち人間”になってしまう恐れもある。
■子どものやる気を上げためには“ご褒美”も有効
本書は、学校の成績を上げるための即効テクニックも紹介している。著者はそのひとつとして、ご褒美をあげることも有効だと語る。ただし、「90点以上だったらゲームを買ってあげる」というように、“結果”に対して報酬を与えるのではない。ハーバード大学の研究によれば、“結果”よりも“過程”――すなわち、途中の気持ちや努力を褒めると成績アップにつながるそうだ。そのため、「しっかり勉強したらゲームを買ってあげる」のような約束のほうが有効だという。
親と子ども。双方が見ている世界は、想像以上にすれ違っている。子どもにうまくやる気を出させ、自分で考えられる大人に育てるためには、彼らの心にうまく寄り添ってあげる必要がある。本書は、“しつもんメソッド”を中心に、集中できる勉強法や、中学受験の心得なども解説している。ぜひ子どもとの関係を見直すきっかけにしてほしい。
文=中川 凌