誰でも「たとえ上手」になれる! 言いたいことを相手にうまく伝える5つのステップ
公開日:2019/2/17
あなたはこんな状況に対して、どんなアドバイスをするだろうか? (ただし、たとえ話を必ず用いること)
カナさんは会社の上司やチームの人たちとうまくいっています。ただ職場で一人気になるのが、サエグサさんという同僚。サエグサさんはカナさんに何かと突っかかってきて、カナさんが近寄る努力をしてもうまく行きませんでした。明日のプレゼンも、上司ではなくサエグサさんに何か言われないか心配しています
自分が「カナさんの話を聞いている女友達」という設定で考えてみてほしい。
このシチュエーションのように、相手をなだめたり元気づけたり、説得したりしたい場面はビジネスにも日常にも存在する。実は、そういった場面で役に立つのが「たとえる力」である。
『たとえる力で人生は変わる』(井上大輔/宣伝会議)は、誰にでも伝わるたとえ方の法則を5つのステップを使って手ほどきしていく1冊だ。本書は「誰もが“たとえ上手”になれる」と断言する。しかも、たとえる力を鍛えていく上で教養はまったく必要ないという。仕組みを理解して、練習していくことで、「たとえ上手」を目指すというのが本書の目的だ。
冒頭の「カナさん」の話に戻ろう。本書が示す、彼女へのアドバイスの答えはこうだ。
「カナは校庭に埋った小さい石を一生懸命取ろうとしているんだよ。それで、取れないから石ばかり見ちゃってる。そんな石は放っておいても害はないから、広い校庭を見まわして、そこで思いっきり遊んだ方がいいよ」
もちろん、これ以外の答えを思いついても良い。大事なのは、あなたが用いるたとえが相手の状況にそっているか、相手の心に響くかどうかである。
良いたとえ話を作るために、本書では5つのステップを紹介している。
1. 何を伝えたいか、を整理する
(相手に伝えたいメッセージをぼんやりでなく具体的に決める)
2. 登場人物と関連性を整理する
(相手の話に出てきた人物とその関係性をまとめ、理解する)
3. 舞台設定の候補を出す
(たとえ話のシチュエーションをいくつか考える)
4. 3つのポイントで舞台をふるいにかける
(3で出た候補から絞っていく)
5. 選んだ舞台で伝えたいことを説明する
(4で選んだものと1を照らし合わせ完成させる)
つまり、相手の立場や話した内容をよく理解し、それに合ったたとえのシチュエーションを絞り込み、ブラッシュアップしていくという工程だ。自分が満足するだけのトンチンカンなたとえを出しても仕方ない。相手の心に刺さるたとえを考え出すためには、しくみを理解することや、作るのに慣れることが必要だろう。それに役立つのがこの5つのステップというわけだ。ちなみに著者によると、必ずしもこの5つのステップの型に落とし込む必要はなく、慣れたら臨機応変に変えていくのが理想だという。
わかりやすいたとえ話を使うことは、理解をスムーズにし、その場をうまく進行させることができる。人から何かの説明を受けるとき、理屈はわかっても、なんとなく心に響かない、いまいち腑に落ちないということはあるだろう。そんなときに良いたとえ話があると、コアな要素が理解でき、納得に繋がる。あなたのいつもの会話にぜひ強力なツールとして「たとえ話」を取り込んでみてはどうだろうか。
文=ジョセート