副業でも少額でも、確定申告はするべき!? 税金の“分からない”を解決してくれる本
公開日:2019/2/26
働き方が多様化している今、フリーランスで働く人や副業をする人もどんどん増えている。また、これから副業を始めてみたい…という声もよく聞く。そこで立ちはだかる「壁」として、「確定申告」を思い浮かべる人は多いはず。
普通に会社に勤めていれば、給与や所得の計算はすべて会社がおこなってくれる。しかし、個人で働くということは、これを自分でしなくてはいけないことになる。やったことがない人にとって、これは結構なハードルだ。
そんな人にぜひ読んでほしいのが、『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(大河内薫、若林杏樹/サンクチュアリ出版)。本書は、「所得税って何?」「確定申告って何?」という個人事業主初心者でもやるべきことが分かるよう、漫画で分かりやすく教えてくれるありがたい指南書だ。
◆そもそも、「確定申告」って何をするもの?
確定申告は、1月1日~12月31日に生じた所得に対してかかる税金(=所得税)を計算し、書類を提出して申告すること。所得とは、売上から経費や保険料、基礎控除(誰でも引くことができる控除。現在は一律だが、2020年から所得に応じて金額が変わる)等を引いたもののこと。これに税金がかかってくる。
当然、売上から引けるものが多ければ多いほど所得税も下がる。場合によっては払い過ぎた税金が確定申告で戻ってくることもある。損をしないために、自分のために、確定申告はきっちりしていく必要があるのだ。
◆「高所得だと所得の半分を持っていかれる」はウソ!
所得税の割合が所得によって違う、ということは多くの人が知っていること。そのため「所得が増えて割合が高くなるなら、ギリギリのラインの場合超えない方が得なのでは」と思いがち。しかしそれは間違いで、税金は「累進課税制度」で計算されることになっている。
例えば200万円所得があった場合、195万円までは5%、そこからはみ出た5万円のみ10%、という計算になるのだとか。よくテレビ等で高額所得者が「所得の半分を税金で持っていかれる」と言っている場面があるが、実はそれは勘違いなのだ。計算が苦手な人のために、所得税の計算を楽にする「所得税の速算表」も公表されている。
◆副業でも、確定申告は必要!
サラリーマンが副業をした場合でも、確定申告をする必要がある。しかしこの場合、本業以外の所得が20万円以下なら確定申告をしなくてもいいことになっている。ただし企業との仕事が多い人や経費がたくさんかかる人は、確定申告をすることでお得になる場合もある。企業は個人への報酬から所得税を先取りし、国に支払う義務がある。これを「源泉徴収」という。所得に対して、この前払いしている源泉徴収が多過ぎる場合は、確定申告をすることで還付される仕組みになっているのだ。
所得は所得税だけでなく、事業税や住民税、消費税にも関係してくる大切なもの。経費や控除のことを知らず、よくわからないままに税金を支払っていると、大きく損をしてしまうこともある。この『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』には、上で挙げた以外にも、白色申告と青色申告の違い、確定申告の細かい手順、実際の書類の書面、節税対策など、必要な知識がギリギリのラインまで紹介されている。
筆者もフリーになって5年が経つが、知らなかったことがたくさんあった。確定申告や税金について不安がある人は、本書を読んでおいて損はないはず。今年はまだ始まったばかり。今年の分からだけでも、しっかり管理、チェックしていきたい。
文=きこなび(月乃雫)