シーズン間近! 後輩社員の新人教育を任されたらどうする? 新米リーダーのための教科書
公開日:2019/3/7
株式会社マイナビが主催した「2019年卒マイナビ大学生就職意識調査」の就職観に関する項目では、1位「楽しく働きたい(33.3%)」、2位「個人の生活と仕事を両立させたい(24.2%)」などが続き、最も少ないのが「出世したい(1.0%)」でした。新入社員に限らず、20代、30代の若手社員は「出世離れ」の傾向にあります。それでも来年度の新社会人が入社すれば、先輩として指導する立場になるという方も多いのではないでしょうか。
『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ』(伊庭正康/PHP研究所)の著者も管理職になるのが嫌で、出世から逃げてきたタイプだったそうです。しかし、あるとき営業リーダーに抜擢され、仕方なくチームを率いて試行錯誤を繰り返すうちにコツを掴み、その結果「残業しないチーム」を築き上げ、入社3年以内の退職者ゼロを達成したといいます。
そんな出世嫌いの著者が掴んだマネジメント術には、新入社員を育てるリーダーの極意があります。
■価値観は否定せず、相手軸で考えさせる
新人教育を任されたリーダーの最初の悩みは、学生気分でいる新人の問題行動です。
態度が悪い。挨拶をしない。欠勤や遅刻も連絡なし。定時になるとすぐ帰ってしまうなど。現代の若者に常識は通用しません。しかし厳しく注意すると、いまの新入社員は簡単に辞めてしまいます。
まずリーダーは新人の「ダイバーシティ(多様性)」を意識しようと訴えています。
社会のダイバーシティが進むなか、異なる人間性や価値観を持った社員は組織の柔軟性に繋がります。育ってきた文化が違うと考えれば、常識は絶対的ではありません。
それでも最低限のルールは教えなければなりません。そこで押さえておくポイントは一つ。
それは、すべてを「相手軸」で考えさせること。
自分が礼儀正しく挨拶すれば相手も親切に対応してくれる。遅刻の連絡をしなければ相手が心配をする。作業を分担すれば相手も自分が困っている時に助けてくれる。
新人の価値観は否定せず、まずは受け入れる。その上で相手目線の考えを導きましょう。
■一緒に、丁寧に仕事を任せる
新人にとって最初の3年の経験が、その後の成長を決めるといいます。
かといって、いきなり現場に放り込んで仕事ぶりを厳しく指摘したり、逆に新人の自由に任せたりするのは、どちらもリーダーとしてNGです。
仕事を任せる時のキーワードは、「一緒に、丁寧に」です。
部下に仕事を任せる5つのポイント
(1)リスクの低い「チームの仕事」を積極的に任せていく。
(2)5W1Hの観点で「具体的な進め方」を伝える。
(3)不安な点、不明な点がないかを確認する。
(4)念のために「やること」を復唱してもらう。
(5)「できたかどうか」をお互いに確認し、良かった点を褒める。
「これくらいわかるだろう」という考えは禁物です。新入社員は知らなくて当たり前です。どんな些細なことでも一緒になって丁寧に教えるという最初のアプローチが肝心です。失敗してもリスクの少ない仕事から任せ、小さな成功体験を積ませていくことで、不安や疑問を自発的に上司に報告するようになり、成長に繋がるといいます。
この他にも、本書では効果的な褒め方、やる気を引き出す方法、チームの作り方など、まさに「一緒に、丁寧に」リーダーのコツを解説してくれています。
現代では、仕事のやり方は教えてくれても、こうしたリーダーのやり方まで教えてくれる企業は少ないのではないでしょうか。社員が「出世離れ」になってしまう気持ちもわかったような気がします。
文=愛咲優詩
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