フェラーリが経費になるって本当? 確定申告で得するための必携ガイド
公開日:2019/3/1
昨年1月、厚労省は企業に対して、「原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当」と発表した(「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)。今後、副業・兼業をするサラリーマンは一層増えるだろう。
副業・兼業をすれば収入は増えるだろうが、必須となるのが「確定申告」だ。「聞いたことはあるけど、確定申告っていったいなに?」という、年末調整しか知らないサラリーマン必携の1冊が、『ぶっちゃけ税理士が教える 確定申告のいちばん得するスゴ技』(松波竜太/宝島社)だ。
本書は、確定申告のやり方、計算方法といった基本から、節税方法など、確定申告で起こりがちなさまざまな損得やメリット・デメリットを、具体的な事例も交えてわかりやすく教えてくれるガイドブックだ。以下、本書から得た情報を記していこう。
■確定申告が必要になるサラリーマンは、どんな人?
確定申告とは、個人事業主やその他当該者が、総収入と経費を報告して収入総額を確定させ、払いすぎた税金を還付金として取り戻したり追加納税したりすること。今年の場合、2月18日(月)から3月15日(金)までの期間に税務署に申告・納税する。
サラリーマンの場合は、年末調整を行うため「1社からの年収が2000万円以内で、その他の年収が20万円以内の人」は確定申告が免除される。つまり、副業・兼業をするサラリーマンは、「副業・兼業で年収20万円を超えたら確定申告」と心得ておこう。
ただし、年末調整は万能ではなく、「医療費控除」「住宅ローン控除」などが申請できない。そのため、医療費にお金を使った、住宅ローンを組んだというサラリーマンは、確定申告することでしかるべき還付金が取り戻せるようになる。
このように確定申告は、払い過ぎている税金を取り戻す機会にもなるため、当該者は「確定申告をしないと損になる」ことを覚えておこう。
副業で記事などを書いて、ライターとしての原稿料をもらう人などもいるだろう。その場合、原稿料からは「源泉徴収」が差し引かれて払われる。この「源泉徴収」も多めに引かれることになるため、確定申告で差額が取り戻せることになる。
■雑所得の確定申告はとても簡単にできる
確定申告することのメリットは他にもいろいろとある。最も社会的に大きいのは「収入や所得を証明できる」ことだ。サラリーマンで本業+副業である程度の収入がある人なら、確定申告でその全貌を示せるため、社会的信用が高まり、住宅ローンや保育園の審査などで有利になる。
また、サラリーマンが個人事業主としてではなく、副業的に行う事業の収入は「雑所得」として申告することになる。この際の申告手続きはものすごく簡単だ。
「雑収入はこれだけあります。必要経費はこれだけかかっています。ですので、雑所得(「雑収入」-「経費」)はこれだけです。以上」で終了だ。
ただ、副業であっても「事業所得」にすることができれば、より多くのメリットが得られ節税にもなる。サラリーマンが副業を雑所得ではなく、事業所得として認めてもらうためのやり方が本書には記されているので、ハードルはやや高いかもしれないが関心ある人は本書でご確認いただきたい。
■フェラーリが経費になるって、本当?
では次に、節税のカギを握る「経費」について触れておこう。確定申告する際には、その収入を得るために使った「必要経費」が申請できる。本書には、どんな経費が認められるのか、また、認められないのか。そして、あくまでも合法的に経費を積み上げて税金を減らす節税テクニックが、さまざまに紹介されている。
例えば驚きの判例として、ある会社の所有するフェラーリが経費として認められたケースが紹介されている。その会社の社長は出張先などにフェラーリを使っており、他の交通機関を使う経費は受け取っていないことやその他の理由からフェラーリを経費にすることに成功した事例だ。
副業するため、語学学校に行ったり、仕事相手と飲みに行くこと、あるいはプログラマーであれば、ゲームやアプリ購入費なども経費となる。本書には、職業別に経費になるものや注意点なども記されているので、本書で詳細を確認して欲しい。
■各種の所得控除も有効に活用しよう
他にも確定申告でできる節税のポイントとして本書には、生命保険、地震保険、寄付金など各種の「所得控除」について記されている。
中でも寄付金控除のひとつで、返礼品(特産品)がもらえる「ふるさと納税」は、やはりおいしい。地方自治体に寄付をすることで、寄付金から自己負担金2000円を差し引いた金額が控除として扱われ、所得税や住民税を減らしてくれるシステムだ。
例えば1万円寄付すれば、8000円分が控除される。つまりふるさと納税とは、2000円で特産品をゲットしているのと実質同じことなのだ。
本書には他にも、サラリーマンが副業をする際に、税で損をしない働き方の形態(雇用される、個人事業主になる、法人化するなど)の解説や、本業を減らして副業した場合に税額や手取りがどう変わるかといったシミュレーションもあるので、「副業のウエイトを収入面でも大きくしていきたい」という人にも、本書は大いに参考になるだろう。
本書で賢く確定申告を行って、副業ライフをより有意義なものにして欲しい。
文=町田光