自分の悪口を言われていると感じたら…? 敏感すぎるHSPがマイナス思考から逃れる方法

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更新日:2019/3/4

『「敏感すぎていつも不安」なのは「HSP(敏感気質)」かもしれません』(長沼睦雄:著/PHP研究所)

 集団の中だと無口になって孤立してしまう、相手のことを考えすぎてイヤと言えない…。これらはHSPの人たちが抱えやすい悩みです。HSP(Highly Sensitive Person)とは過敏な気質を持つ人のことで、世界中の5人に1人はいると言われています。HSC(Highly Sensitive Child)は同じく過敏な気質を持つ子どもを指します。以前に比べるとずいぶん一般的になりました。

 新しい環境に入ることが多くなる春。敏感ゆえに人とのコミュニケーションが苦手なHSPにとって、つらい季節です。HSPはその人の気質であり、直す必要はないと言われていますが、心をラクにするために知っておくといいことがたくさんあります。『「敏感すぎていつも不安」なのは「HSP(敏感気質)」かもしれません』(長沼睦雄:著/PHP研究所)では、対人関係で不安になった時の切り抜け方を事例別に紹介。ここではそのほんの一部に触れてみます。

■「自分の悪口を言われている?」と不安になってしまったら…

 新しい環境で不安なのが、周りの人たちに馴染んでいけるかどうか。敏感な人には人見知りが多く、自分からグループの中に入っていけません。入れたとしても、他愛のない会話をするのが苦手。話しかけるのを躊躇しているうちに、他のみんながいつの間にか仲良くなっていることも。本書では、不安がどんどん膨らみ、「自分の悪口を言われているのでは?」と心配になってしまった時の対処法が紹介されています。

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 そんな時は思い切って、本当にあなたの噂をしているかどうか確かめてみましょう。その人たちに近づいて耳をそばだててみる、勇気を出してあいさつをしてみる、といった方法がすすめられています。もしかしたら、天気の話をしているだけかもしれません。

 悪口なんて言われていないのに、それを事実だと思い込んでしまう。その背景には、「自分なんて」と自分を否定する気持ちがあることも多いそうです。自己肯定感が低いために、自分はつまらない人間だから悪口を言われても当たり前だと考えてしまう。

 まずは、自分が「マイナスの思い込みに縛られている」ことを自覚して、それが事実ではないと気づきましょう。モヤモヤを解消するには、見えていなかった現実を知ること。そのために、相手をしっかりと見つめて確かめるのです。穏やかな春の日の昼下がりにでも、勇気を出して、笑顔であいさつしてみませんか? それが事実ではないと分かれば、心がスーッと軽くなるはずです。

■新しい自分になるために、今までの自分を手放す勇気を持とう

 他にも、HSPが陥りやすいマイナスの思考が紹介されています。たとえば、「こうあるべき」という理想が強く、少しでも外れたら「自分はダメだ」と考えてしまう。また、「良い行いをしないといけない」という考えにとらわれ、自分を守るためであっても嘘をつけない。HSPにだっていいところはたくさんあるし、善行もズルいところも両方あっての自分なのに。

 注意したいのは、不信感や不安が強まるほど、遠ざけたいものを引き寄せてしまうこと。敏感すぎる人にはよく起こり、自分はそういう運命だとあきらめている人も少なくないとか。時には、不安を心の中から追い出し、安全で楽しいことに目を向けることも大切です。

 敏感すぎても、自分らしく輝ける方法を教えてくれる本書。新しい環境は、自分を変えるチャンスです。新しい自分になるために、今までの自分を手放してしまいましょう。自身もHSPであり、一歩先に抜け出した著者が、「必ず変われる」と背中をやさしく押してくれます。

文=吉田有希