40代女性の3割が経験! くしゃみ・咳で「アッ」となる尿漏れ対策に○○の筋トレを
公開日:2019/3/7
女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。
尿漏れや頻尿などの排尿に関するトラブルを抱える女性は意外に多く、尿漏れに関しては40代女性の3割に何らかの尿漏れの経験があると言われています。
尿漏れとは、尿を出そうとしていないのに勝手に尿が漏れ出てしまう状態です。通常は、膀胱にある程度尿がたまると、膀胱から脳に「尿がたまりましたよ」という信号が出て、トイレにたどり着いて尿を出してもよい状態になってから、脳から「尿を出しなさい」という指令が来て膀胱の先にある尿の出口が開いて膀胱が尿を絞り出すようになっています。したがって、尿を出すか出さないかは「自分が決める」ことができるはずなのです。
ところが、筋肉の緩みや神経の働きの異常で尿の出口をしめておくことができなくなったり、膀胱が勝手に収縮して尿を出そうとしてしまうと、「尿を出すぞ」と意識していないのに尿が出る状態になってしまいます。
女性の尿漏れは主に「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」に分けられます。腹圧性尿失禁は、くしゃみや咳をしたり重いものを持ったりしておなかに力が入った時にちょっとだけ尿が漏れてしまう状態です。おなかに力が入ると、膀胱に圧力がかかるので尿が押し出されそうになりますが、通常は尿の出口の筋肉がキュッとしまって出ないように止めることができます。加齢や出産の影響で、この尿の出口をしめておく筋肉=骨盤底筋群が弱くなると、出口をしめきれずに尿が漏れてしまうのです。骨盤底筋群が弱くなる原因として、3人以上産んでいる・3500グラム以上の大きな赤ちゃんを産んだことがある・産後に骨盤底筋群のケアをしていない・肥満・便秘・重いものを持つ仕事や立ち仕事を続けている、などがあげられます。特に、産後から尿漏れがあるという場合は、出産によって骨盤底筋群がダメージを受けている可能性があるので、早めにケアを開始したほうがよいでしょう。
腹圧性尿失禁の改善方法としては、軽度であれば骨盤底筋群の筋トレで対応できます。毎日20~30回の筋トレを1日3~4セット行うことで、まずは尿の出口をきちんとしめられるようにしていくのです。特に産後の筋トレ開始は早い方がよいので、やり方が分からない場合は助産師さんに確認してみましょう。また、悪化を予防するという意味で、重いものを持たない・体重を増やさない・便秘にならないようにすることも重要です。症状が重度な場合や、筋トレを行っても改善しない場合は手術を行います。通常は日帰りでできる簡単な手術で改善することが可能です。
切迫性尿失禁は、「トイレに行きたい」と感じたらすぐに尿が出そうになって、排尿を我慢することが難しくなる状態です。原因としては、過活動膀胱が考えられます。過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって尿があまりたまっていないのに尿意を感じたり、すぐに排尿の反射が起きてしまう状態です。排尿時の痛みはないのに、尿意が我慢できなくなったり頻尿になったりします。治療法としては、排尿を我慢する膀胱訓練や、膀胱の過敏さを和らげる薬物治療が中心となります。飲水量はそれほど多くないのに、1時間おきにトイレに行ったり、尿意を感じたらすぐにトイレに行かないと間に合わないといった場合は、泌尿器科や婦人科で相談してみるとよいでしょう。
排尿のトラブルは、命に関わるものではありませんが生活の質を大きく落としてしまうものです。気になったらひとりで悩まずに、泌尿器科や婦人科を受診しましょう。