たわわなHカップバストの彼女が好きになったのは…大きすぎるアレのせいで未だ●●の彼!!
更新日:2019/6/15
「豊満なバスト」
それは一見、女性として大きな魅力のように感じるものだ。私も一時期、どうしても自分のバストを大きくしたくて、補正下着などを使って苦しい思いをしながら涙ぐましい努力をしていたこともある。
しかし当然、実際にバストが大きい人たちにも悩みはある。よく聞くのは、「肩が凝りやすい」こと。「好きなタイプの洋服が似合わない」こと。あとは、「周囲の人たちからいやらしい目で見られやすい」こと。
水瀬マユ『ふくらみふくらむ』(双葉社)の主人公・盛盛実乃梨(もりざかりみのり)は、そんな豊満なバストがコンプレックスの24歳会社員。シャツの上からも「絶対Gはあるな」と感じるほど大きなバストは、ちょっと走るだけでも注目を集めてしまう。可愛らしい容姿と魅力的なスタイルをもちながらも、実は24年間彼氏なし。
そんな彼女が一途に想いを寄せる相手がいる。同じ会社で働く3つ年上の先輩・金城玉ノ輔さんだ。男性からの好奇の視線を浴び慣れてしまったせいで、他人からの視線に敏感な彼女は、唯一自分の胸に目をやらない金城さんに、だんだんと心惹かれていく。しかし、とある飲みの席で金城さんが胸に対して「小さい方がいいな」と言っているのを聞いてしまい…。
表紙やタイトル、第1話の入りから、うっかり「豊満な胸がコンプレックスな女性の物語」だと思いきや、実はこの作品にはもうひとつの「大きすぎる」アレが登場することで、想定外の方向へと展開していく。
タイトルにある、「ふくらみ」が盛盛の大きすぎるバストなら、「ふくらむ」は金城の大きすぎる男性器である。そう、この作品は「大きすぎるものをお持ちの男女が付き合ってみた物語」なのだ。
男性の象徴として、やはり大きな男性器は羨ましいものだろう。しかし、大きすぎれば悩みも生じる。ふとした日常で軽く勃起しただけでもくっきりとズボンの下から主張してしまうあそこ。付き合う女の子には「入んないよソレ…」と引かれる始末。彼は自分の大きすぎる男性器を理由にフラれたトラウマから、恋愛自体を諦めてしまっていた。
そこで出会うのが、自分に想いを寄せる盛盛である。ただでさえ勃起するリスクの大きい金城にとって、股間への刺激が強い盛盛のスタイルは、もはや危険な領域。意識的に目をそらす努力が必須だ。しかし、彼女はそんなこととはつゆ知らず、自分の胸を見てこない彼に誠実さを感じて、ど直球にアプローチを続けてくる。
お互いにセクシーな肉体をもつがゆえ、なかなか他人には理解してもらい辛いコンプレックスを抱えているわけだが、そんな彼らが距離を縮めていく様子はどこか初々しくてピュアなときめきが詰まっているのがおもしろい。
文=園田菜々