「My name is ◯◯.」を“1語”で言うと…。なぜ? ペラペラ英語が通じない理由
公開日:2019/3/15
「英語を習うとなると、しっかりとした英語を流暢に話すことに憧れる人も多いかと思いますが、今の時代、そうした英語の方がかえって相手に伝わりにくいこともあるのです」
そう語るのは7万人のフォロワーを誇るInstagram「超絶シンプル英会話」を運営するmamiさん。1月にはあらゆる場面で使うことができる短い英語を収録した『1回で伝わる 短い英語』(KADOKAWA)が出版されました。
本記事では「なぜ、ペラペラ英語だと通じないのか」気になるその理由を詳しくお伺いしました。
■シンプルに勝る英語はない
私はかつて、ドバイのエミレーツ航空でCAとして働いていました。そこではネイティブから非ネイティブまで、様々な人種の方と英語でお話をする機会がありました。
それまで、英語はきちんとした文法に沿った、綺麗な発音で話す必要があると考えていたのですが、実際に必要になるのは真逆の英語でした。
非ネイティブの英語話者が6割以上もいると言われる世界では、きちんとした文章で話すよりも、短く簡単な単語を使って、発音や訛りを気にせず、とにかく言いたいことを端的に伝えることができる英語が求められたのです。
理由は単純で、その方が聞く方も話す方もわかりやすいからです。
たとえば、次のようなことがありました。ある高級ホテルでネイティブであるコンシェルジュが非ネイティブのお客様と英語で話していたのですが、そのお客様はコンシェルジュが話す英語を理解できず、その場にいた私が短い英語で通訳をする必要があったのです。
コンシェルジュは次のように状況を説明していました。
We are not able to delay the check-out time even if you pay an additional charge.
Since this room is already reserved by another customer for tonight, we have to make the room ready for them by 3pm according to the regulations of our hotel.
(追加料金をお支払いいただきましても、チェックアウトの時間を遅らせることはできかねます。こちらのお部屋は今晩他のお客様の予約が入っており、ホテルの規則により、次のお客様のために午後3時までにはお部屋を準備しておかなければならないのです。)
しかし、非ネイティブのお客様は、内容がよくわかっていないようでした。
そこで私が次のように短く言い換えて伝えたのです。
You can’t do that.
Someone will be staying here tonight.
(できないです。今夜ここには他の人が泊まります。)
こう伝えただけで、その非ネイティブの方は状況を理解してくださいました。
このように、場面によってはネイティブが話す流暢な英語の方が通じないことすらあるのです。ですので、これからはネイティブが使うようなペラペラ英語ではなく、どんな人へ対しても「1回で伝わる 短い英語」を身につける必要があるのです。
■短い英語を話すコツ
こうした短い英語を話すコツですが、それはルールに捉われないことです。たとえば、次の英語を1語にしてくださいと言われたら、パッと短い英語が浮かびますか?
Nice to meet you.
はじめまして。
※hを使った1つの単語に。
正解は「Hi.(どうも。)」です。
このとき、『挨拶のときはまず「Nice to meet you.」と言わなくてはいけないのでないか?』と考えませんでしたか? 実は「Nice to meet you.」は挨拶の最初に必ず言わなくてはいけないということではありません。日常では「Hi.」と軽く挨拶し、そのあとで名前を名乗ることが多くあります。
このように私達が教科書で習ってきたフレーズや文法に捉われることなく、本当に必要なことだけをどうしたらシンプルに伝えることができるかを考えれば、自ずと短い英語が身についてきます。
それでは、最後に次の自己紹介を1語にすると、どんな英語になると思いますか?
本当に必要な情報だけを考えてください。
My name is Taro Suzuki.
正解は「Taro.(太郎です)」です。
これも片言の英語のように聞こえるかもしれませんが、映画などでも、こうしてファーストネームだけを伝えるシーンをよく見ます。このようにとにかく「間違いを恐れずになるべく短く」ということを心掛けるだけで、あなたの英語はシンプルで伝えやすいものになるはずです。
【解説者紹介】
mami
ドバイのエミレーツ航空で3年ほどCAとして勤める。非ネイティブも含め各国の人と何万回と英会話を実践していく中で、ネイティブが使うような英語ではなく、本当にどんな人にでも通じるシンプルな英語が必要だと痛感する。この経験をもとに始めたInstagram『超絶シンプル英会話』は誰にでも使える短い英語が話題となり、フォロワー数は7万人を超える。