月何回の「射精」がもっとも健康的? 男性の健康に不可欠な勃起と射精のメカニズム
更新日:2020/7/2
■勃起と射精は前立腺の病気予防に役立つ
勃起に関係する副交感神経は、人間の“リラックス”を司っている。反対に人間の“緊張”を司るのが交感神経で、その働きのピークとなるのは性的興奮が絶頂に達する「射精」だ。
勃起と射精が対であるのはいうまでもないが、本書によれば、血管の若さを保つためにはこれらの働きが重要だと指摘する。特に、50歳を過ぎると前立腺肥大症や前立腺がんに罹患する確率が高くなるが、じつは、その予防に役立つのは、射精により前立腺の健康を保つことだそうだ。勃起時の陰茎に対する刺激はもちろん、射精により繰り返される前立腺の収縮と弛緩は、動脈の流れをよくする働きもある。
過去のハーバード大学による研究では「月に21回以上」の射精により、前立腺がん発生の可能性が少なくなったという結果もあるという。(さすがに回数的にはきついと思いつつ)やはり、適度なセックスやマスターベーションは健康を維持するのに役立つといえそうだ。
■EDは心筋梗塞のサインになりうる
勃起は男性にとって健康のバロメータであるが、一方で本書は、EDが男性にとって早死につながる可能性があるというリスクについて指摘している。
過去には、「EDは心筋梗塞の前触れ」という論文も発表されているという。通常、冠動脈の血管の太さは3~4mmで、勃起に必要な陰茎新動脈の太さは1~2mm。全身のあらゆる動脈が同じ進行具合で硬化するとすれば、心臓の冠動脈が詰まるより前に、心臓から離れた下半身で硬化が始まる場合もあり、そのサインのひとつがEDだというのだ。この予兆を見逃すと、最悪のケースでは2年ほどで死に至ることもあるという。現在EDにはさまざまな治療法があるので、気になることがあれば専門医をたずねることも必要だろう。
ただ快楽を求めるだけではなく、男性の身体の健康を考える上でも重要な役割がある勃起や射精。その意義を考えるためにも、男性たちには本書を手にとってもらいたい。
文=カネコシュウヘイ