「メンタル童貞」ってどういうことだ!? さらば青春の光・森田が綴る、悲しき男の性
公開日:2019/3/16
筆者は、さらば青春の光というお笑いコンビが大好きである。コントも漫才も一流で、バラエティ番組でも結果を残し続けている。さらに、演技力も抜群だ。特に、ネタ作成を担当している森田哲矢さんは芸人として以上に、人として尊敬していた。だからこそ、ダ・ヴィチニュースでコラムを連載すると聞いたときは期待に胸を膨らませたものだ。一体、どんなお笑い論、仕事論が読めるのだろうと。
しかし、連載『煙だけでいい…… あとはオレが火を起こす!』は回を重ねるごとにゲスさを増していく。そして、最終的には下心しかない合コンと、風俗のエピソードばかりになっていた。どうか、筆者のリスペクトを返してほしい。ただ、お笑い芸人としては間違いなく面白いのも確か。つい最近、連載が『メンタル童貞ロックンロール』(KADOKAWA)という名の単行本にまとめられたので、改めて森田さんのゲスさを振り返っていきたい。
そもそも「メンタル童貞」とは何なのか? それは、経験のあるなしにかかわらず、いまだに童貞の精神を捨てられない男性を指す言葉だ。森田さんは30代半ばを過ぎても性欲に振り回される自称・メンタル童貞である。そんな行動原理が招いた悲劇が「ヤリマン2万7千円事件」だ。悪友たちと女子大生3人で宅飲みをしていた森田さん。トークは盛り上がり、エロい雰囲気が漂い出すものの、まさかの寝落ち。そして、翌朝、森田さんの財布から2万7千円が抜かれていた―。
確実に女子大生が犯人としか思えない状況。本来なら、彼女たちと冷静に対話して謝ってもらい、お金を取り返すのが大人の男だろう。しかし、森田さんたちはLINEグループでわざとらしい探りを入れ続ける。女子大生の反応といえば、
そのスタンプ可愛い
ほしー♪
完全にナメられている…。
そのほか、セックスをかけて「スーパーマリオ」クリアに挑んだ夜、友人のミュージシャンに花を持たせるつもりが裏目に出た夜など、森田さんの開催する宅飲みではろくなことが起こらない。すべては、「ヤリたい」気持ちが全面に出てしまう、メンタル童貞の悲しき性である。森田さんも、なんとか女性と関係を持てた夜がなくはない。ただ、それすら「中村静香と付き合っている」と嘘をつき、男としてのランクを上に見せた結果だ。ここまでくると、とことんプライドをかなぐり捨てて女性に突進できる精神力を見習うべきなのかもしれない。
メンタル童貞のオアシス、風俗に関するエピソードも充実している。筆者がタイトルに惹かれたのは「M-1グランプリと風俗業界の密接な関係」という章だ。若手漫才師ナンバーワンを決める大会が風俗とどう関係あるのか? 興味津々でページを捲ってみた。そこでは、M-1予選中、「勝負事の前にエッチをしてはいけない」というジンクスに苦悩していた森田さんの大発見が綴られていた。「プロなら問題はない」と。
準々決勝の前にも同じ店にいきました。プロによる最高のもてなしでフィニッシュ。
準決勝進出。
準決勝の前にも同じ店に。プロならではの究極のテクニックによりフィニッシュ。
決勝進出。
プロ効果による破竹の快進撃により、とうとう自身初の決勝進出まで果たしてしまいました。
「関係あるか!」と全力でツッコまずにはいられない。エロのためなら、ありとあらゆる詭弁で理論武装をするいじらしさ。これこそが、メンタル童貞のメンタル童貞たる所以なのである。男性のみなさん、あなたも心の奥底でメンタル童貞を飼っていませんか? 女性のみなさん、合コンで男性はこんなことを考えているのです。
ところで、森田さんは「本が出たら印税は全部、中村静香さんに渡す」と書いていたが、公約は守られるのだろうか? 気になる。
文=石塚就一