世界の名著100冊分の内容が1冊に! ビジネスマンに必須の教養がイラスト付で入ってくる

ビジネス

公開日:2019/3/13

『これからのビジネスマンに必要な教養が身につく! 世界の名著見るだけノート』(福田和也/宝島社)

 世界文学、日本文学、ビジネス書、哲学書…さまざまなジャンルにいわゆる“名著”が存在しているが、名前は知っていても読んでいないという作品が大半ではないだろうか。「名著を読め」というアドバイスはよくあるが、よほどの本の虫でもなければ片っ端から名著を読み下すことはできない。とはいえ、ビジネス上の会話において、名著の内容を知らないために、上司や取引先から“常識がない”と思われてしまうこともある。そんな事態を避けるために、あらすじや要点だけでも知っておきたい…そう思っている人は少なくないはずだ。本書『これからのビジネスマンに必要な教養が身につく! 世界の名著見るだけノート』(福田和也/宝島社)は、そんな思いに応えてくれる夢のような本。作品ごとに1~2ページを“見るだけ”で、古今東西の名著・100冊の内容を把握することができる。

■物語のモチーフによく使われる『白鯨』 どんな話か知っていますか?

 小説や映画のモチーフとして度々登場する『白鯨』。だが、実際に元ネタであるハーマン・メルヴィルの小説を読んだことがある人は少ないだろう。1851年に発表された『白鯨』は、実際に捕鯨船で航海をしていたという著者の経験をもとに作られた海洋冒険ロマンだ。本書の見どころは、かつて白鯨に足を食いちぎられたエイハブ船長の執念。風来坊のイシュメールは、復讐に燃えるエイハブ船長の船に乗り込み、共に航海をする。そして、日本海域付近でその復讐相手であるモービィ・ディックと遭遇する。壮絶な戦いの末、エイハブ船長は、怒り狂った白鯨と共に海に沈んでいく…。発売当初は不評だったようだが、20世紀になってから再評価されている。

■今でもビジネス書で引用されるコトラーの『マーケティング・マネジメント』

“マーケティングのバイブル”と呼ばれるコトラーの『マーケティング・マネジメント』は、今でも多くのマーケティングの基本となっている。近年のマーケティング本を読んでいても、「コトラーは○○だと主張しているが、現代では~」というように、前提知識として引き合いに出されることが多い。コトラーは、「製品および価値の創造と交換を通じてニーズやウォンツを満たすプロセスがマーケティングである」と語り、本書でそれを体系的に論じた。中でも有名なのが「STPマーケティング」である。これは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字だ。まずは、顧客を年齢や性別で細分化(セグメンテーション)し、その中から狙うターゲットを決める(ターゲティング)。そして、ターゲットに対して自社商品の差別化を図る(ポジショニング)。この一連のプロセスがマーケティングの基本だとされている。

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 本書を読めば、分厚い本を手に取らずとも、世界中の名著を知ることができる。だが、それだけでは終わってほしくない。紹介されているものの中で、特に興味をもつものがあれば、実際に読んでみてほしい。世界中で無数に出版されてきた本の中で、この本に載っているのは“たった”100冊だ。長い時の中を生き残ってきた名著たちは、必ずあなたに新しい発見をもたらしてくれるはずである。本書は、その入り口となる1冊だ。

文=中川凌