今話題の「オンラインサロン」って何? 副業収入やスキルアップもできるオンラインコミュニティの作り方とは?

ビジネス

公開日:2019/3/19

『オンラインサロンのつくりかた 人と人とのつながりを財産に変える』(中里桃子/技術評論社)

 かつて欧米の上流階級が、芸術家や音楽家、詩人などの知識人を招いて知的な会話を楽しんだという社交場、サロン。日本でも太宰治や直木三十五などの文豪たちがサロンとして愛した文壇バーが銀座や神田周辺にありました。そして現代では、サロンはインターネット上に場を移して企業とクリエイターを結びつけています。

『オンラインサロンのつくりかた 人と人とのつながりを財産に変える』(中里桃子/技術評論社)によると、オンラインサロンとは、ネットを通じて主催者と参加者が繋がり合う会員制コミュニティサービスのこと。日本では「DMMオンラインサロン」「CAMPFIRE」などがプラットフォームを提供しています。

 キングコングの西野亮廣さんが様々な企画を提案する「西野亮廣エンタメ研究所」や、芸能界で食通として知られる渡部建さんが知られざる名店を紹介する「渡部建のとっておきの店、こっそり教えます」のような有名人のファンクラブ的なサロンもあれば、起業家がビジネスを教える経営塾、モデルが化粧やネイルアートを教える美容室など、種類はさまざまです。

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 動画配信サ-ビスやメールマガジンと違う点は、主催者から参加者へのタテの繋がりだけではなく、参加者同士のヨコの繋がりがあること。主催者は場所を提供するだけで、参加者同士の交流をメインに活動するサロンもあります。

 例えば、子連れの片親を対象としたオンラインサロンでは、子育てと仕事を抱える片親である参加者同士のお悩み相談の場になっているそうです。会費制でネット上のクローズドな場であれば、周囲に言えない悩みも打ち明けやすいのでしょう。主催者は、参加者に何かを教える教師役でなくとも、目的のために協力し合う仲間であったり、参加者に教えてもらう生徒であったりしてもいいのです。

 オンラインサロンを利用するメリットとして、業界の最前線で活躍する専門家からノウハウを学びスキルアップを図れる、地元や職場の人間関係とは違う同好の繋がりを得られる、共同で何かの企画に取り組んでくれる仲間を集められることなどを挙げています。

 いま、こうしたオンラインサロンが企業から注目されています。メーカー企業が新製品のモニター調査を依頼したり、ビジネスパートナーを探したり、クリエイターを募ったりと人材発掘の場として使われ、副業として活動されている方が増えてきています。

 本書では、まったくの無名でも、専門家でなくても、魅力的なオンラインサロンは作れるといいます。

 参加者としてどこかのオンラインサロンに入会するのではなく、できれば自分の専門や趣味にあったサロンを作りたい。そうした方のためにサロンを設立するまでのコンセプトの設定、ビジョンの提示、イベント企画手順、参加者の集客方法など、居心地のよいサロン運営の手法を解説しています。

 サロンを通してスキルアップや報酬が得られたり、達成感が得られたりすることも魅力ですが、人と人との出会いと繋がりこそが、何よりもかけがえのない財産であると訴えています。

 絶えず価値観が変わっていく現代の人々は、職場や家庭ではなくオンラインサロンに自分の居場所を求めているのかもしれません。

文=愛咲優詩