いじめと仕事に悩んだ10代の黒川芽以さんを救った本『ちびギャラ』―― 20歳を越えて訪れた転機、マウイ島での体験とは?

あの人と本の話 and more

公開日:2019/3/16

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、主演映画『美人が婚活してみたら』の公開を間近に控えた黒川芽以さん。『ちびギャラ』はいじめと仕事に悩んだ10代の黒川さんを癒してくれたという。

黒川芽以さん
黒川芽以
くろかわ・めい●1987年、東京都生まれ。93年に6歳でCMに出演し、97年ドラマデビュー。以降、数多くの映画・ドラマ・舞台で活躍。近年の映画出演作に『ドライブイン蒲生』『二十六夜待ち』など。2019年は『僕に、会いたかった』『ダンスウィズミー』なども公開。
ヘアメイク:帆足雅子(プランセット) スタイリング:原田幸枝

 黒川さんが『ちびギャラ』と出会ったのは高校生の頃だった。10代の黒川さんは学校でのいじめと、6歳から続けている仕事に悩んでいた。本誌で紹介した「弱虫なんて虫はいない。だからきっと大丈夫」に加え、もう一つの好きな言葉を、やはり『ちびギャラ にっ』の中から挙げてくれた――「上手くいかないときもあるよね。でも好きだから…また頑張ってみるよ」。

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「私は本当に女優の仕事が大好きで、大好きだからうまくいかないこともいっぱいありました。でも“好き”っていう気持ちが一番大事ですよね。この言葉は、仕事以外にも当てはまると思います。私、転校が多くて、友達と仲良くなって信頼しあえたと思ったら、すぐに離れないといけない。その繰り返しだったんですね。でもそんなときも、また頑張ろうと思えました」

 20歳を越えて訪れた転機、写真集撮影のために滞在したマウイ島での体験についてもさらに詳しく聞いた。

「思春期は体重コントロールにも悩んでました。全然食べていないのに、だんだん体重が増えちゃう。でもマウイ島に行ったら、島の人たちって朝からココア飲んでドーナッツ食べてたりするんですよね。〈朝からそんなのアリなんだ!〉って、すごい衝撃でした(笑)。心配事はあるかもしれないけど、細かいことなんか気にする必要ない。島の人たちの明るい“マウイパワー”をいっぱいいただいて、とても心が楽になったんですね。そこからいろいろなことが変わり始めて。人の心の温かさもより感じられるようになって、新しい仕事も友達も増えていきました」

 30代になった黒川さんは、自身より若い世代の女の子たちと話すのが好きだという。

「かつての私と同じような悩みを持っていたりすると、もう胸が熱くなっちゃうんですよね。私の経験が少しでもそういう子たちの役に立てばいいなと思います」

 映画『美人が婚活してみたら』も、女性の心の揺れを丁寧に爽快に描き出した作品だ。クスッと笑える婚活シーンに加え、主人公タカコと臼田あさ美さん演じる親友ケイコの女性同士のリアルな関係も大きな共感ポイントだ。

 監督は、『勝手にふるえてろ』などが話題を呼んだ大九明子さんだ。

「大九監督は、女性の自然なかわいさを引き出すのがとてもお上手な方だと思います。お茶目な部分を引き出したい、と今回監督は私を起用してくださったそうです。私の中にそういう部分があるか不安だったんですが、監督の色に染めていただけたらと演出に身を委ねました。じろうさんの脚本も素晴らしくて、笑いの多い作品にも挑戦したいと思うようになりました。『美人が婚活してみたら』は男女を問わずぜひ多くの方に観ていただきたいと思います」

(取材・文:松井美緒 写真:干川 修)

 

映画『美人が婚活してみたら』

映画『美人が婚活してみたら』

原作:とあるアラ子(『美人が婚活してみたら』小学館クリエイティブ) 監督:大九明子 脚本:じろう(シソンヌ) 出演:黒川芽以、臼田あさ美、中村倫也、田中 圭ほか 配給:KATSU-do 3月23日(土)ロードショー●仕事にも容姿にも恵まれたタカコだが、不倫ばかり重ね、気づけば32歳。「死にたい…」という言葉がこぼれたその夜、結婚を決意し婚活サイトに登録する。女性の心のリアルが圧倒的共感を呼ぶ。
(c)2018吉本興業