AIの「簡単さ」に気づけない人たち
公開日:2019/3/26
ニュースで「AI」を見かけない日がないくらい、「AI時代の到来」が叫ばれる。しかし、「AIのことを実はよくわかっていない」「理系ぽくて尻込みしてしまう」「私には関係ない」と思っている人が多いのではないか?
しかし、『独学プログラマーのためのAIアプリ開発がわかる本』の著者である河合大氏は、「AIプログラミングは難しいことではない!」という。
河合大氏は、プログラミング初心者が、自分自身でプロダクトを作れるようになれる技術チュートリアル・試行錯誤した結果などを記事にまとめている。非エンジニアのために、プログラミングの学習ハードルをできるだけ低くし、誰もがプログラミングを武器にできるような社会を実現することを目標にしているそうだ。
Twitterやnoteで積極的に情報発信をしている河合大氏に、「AIの簡単さに気づくことがいかに大事か」をきいた。
■AIは誰にでも使える
まず、僕は文系大卒で、趣味でずっとプログラミングをしている独学のプログラマーです。受験生のときは文系で、大学時代は教育学を専攻していました。卒業後はIT企業で品質保証という、バグを報告する仕事をしていました。
そして、新卒のとき、プライベートでアプリ開発をしているときに作った「文字起こし君」というAI アプリを作りました。その後、Twitterで「文字起こし君」を公表したところ5万リツイートされ、ユーザー数も10万人を突破するアプリとなってしまいました。そして、バズったツイート経由で、AIベンチャー企業に転職することができました。
意外に思われるかもしれませんが、「初心者が最初のアプリを作る」のに膨大な時間は必要ありません。たとえば、「文字起こし君」は環境構築が一切不要なGoogle Apps Scriptを利用して作ります。簡単なJavaScriptがわかれば、とりあえずは実装できてしまいます。
プログラミングは最高に楽しいです。プログラミングを通して、身近な課題を解決し、その開発したアプリを毎日誰かが使ってくれると、非常にやりがいを感じます。毎日の営業リストを自動でWeb上から取得したり、よく読まれる記事の特徴をWeb上から取得して分析したり。毎日エクセルでやっている処理を全部自動化することも可能です。エンジニアでなくても活用できるケースはたくさんあります。
一方で、プログラミングは「とても難しいもの」 というイメージが強いです。多くの初心者はプログラミングの基礎が終わったあと、自分自身のアプリを作る際に挫折します。僕が著書『独学プログラマーのためのAIアプリ開発がわかる本』で紹介するアプリは、ほかのWebやスマートフォンのアプリと比べて、作る障壁をぐっと下げることによって、多くの人にアプリ作成を楽しんでもらえるようにしています。
■大切なのは、ユーザーの課題にフォーカスできるか?
「文字起こし君」のリリース当初、「Google DocumentでもOffice Lensでも、文字起こしなんてできる!技術は全然すごくない」とエンジニアの方から批判がありました。しかし、実際には10万人以上が定期的に使うアプリになりました。これは僕自身が技術をそこまで知らず、ユーザーの視点でものを作れたのが大きかったと思います。
エンジニアは技術に触れすぎているので、「最新の技術を使って何かを作りたい!」という動機でアプリを作ってしまいがちです。一方で、このアプリは「ユーザーがどう使うか」から逆算したから、多くのユーザーに使われたのだと思います。簡単な技術で、どう「ユーザーの課題にフォーカスできるか」を考えながらアプリを作ること、自分自身の課題解決のためにプログラムをつくることが、入門者や独学者にとって重要です。
「プログラミング」や「AI」ときくと尻込みしてしまうかもしれませんが、いざやりだしてみると意外と簡単なものです。この「簡単さ」に気付くことができれば、仕事も生活も少し変わったものになるかもしれません。