“セクハラ”は平成元年!流行語でわかりやすく振り返る平成30年の経済史
更新日:2019/4/8
新しく生まれる言葉は、言うまでもなくその時々の社会を映し出す“鏡”である。今ではすっかり略語が定着した“セクハラ”も、平成1年の「新語・流行語大賞」の新語部門金賞に「セクシャル・ハラスメント」として登場した。こうした言葉が生まれることで、人々は“セクハラ”の問題を意識するようになる。まだまだ根絶とはいかないだろうが、社会的な扱いはこの30年間で確実に変わっただろう。
本書『経済の流行語・論点でたどる平成史』(浜野崇好/草思社)は、経済の新語・流行語から“平成”という時代を読む本だ。著者は、NHKで記者や解説委員などを担当した浜野崇好氏。氏が選んだ新語や流行語からは、経済の変化や、新しい潮流が見えてくる。本稿では、その中から2つのトピックを取り上げよう。
■“ガラスの天井”を破れるか? ジェンダー・ギャップ114位の日本
“ガラスの天井”という表現がある。これは、社会や組織における、女性やマイノリティの進出を阻む“見えない壁”を表している。例えば、小池百合子都知事は、「都知事に当選し、ガラスの天井を1つ破った。都議選でも、ガラスの天井を破ったかなと思ったけど、(その後の)総選挙で鉄の天井があるということを改めて知った」と語ったことがある。
女性の社会進出が進んでいることは間違いないが、まだまだ遅れているのは“政治”の分野だ。WEF(世界経済フォーラム)が毎年発表するジェンダー・ギャップのランキングにおいて、日本は144か国中114位。日本の順位を大きく下げている原因は、「政治への参加」という分野だ。日本の国会議員の男女比は、129位。小池氏が戦った選挙でも、希望の党からの当選者50人のうち、女性はたったの2人だった。次の時代、このギャップは改善されるのだろうか。
■「モノ」から「コト」へ 30年間で変化した価値観
平成の30年間で、さまざまな価値観が変化した。そのひとつが“「モノ」から「コト」へ”である。「モノ」が溢れるようになった今、消費者たちは「コト」(体験)を求めるようになっている。自分の親世代を見ていると、高いクルマを所有することに喜びを感じているが、筆者(20代半ば)の世代でその考えを持つ人は少ない。仲間内で旅行するときも、毎回レンタカーを借りれば事足りる。インスタグラムを見ていても、“こんな体験をした”“こんなメンバーで飲んだ”という投稿ばかりだ。お金をそれほど使わなくとも、充実した“体験”はできる。今後のビジネスにおいて、「コト」消費はキーワードになるだろう。
あなたは、“平成”の変化を感じ取れているだろうか。日々の会話やビジネスにおいて、その流れを知っておくことは大切だ。もし、「最近、ついていけてないな」と感じているのなら、本書で30年の総復習をしてみてはどうだろう。
文=中川凌