巻頭は上田義彦氏撮りおろし50Pのハワイ。桐島かれん責任編集本がタダゴトじゃない!
公開日:2019/4/3
のっけから水着姿の桐島かれんがラニカイビーチに浮かんでいる。ページをくると四児の母であるかれんの子どもたちが、ちらほら誌面に登場する。2006年にリトルモアから刊行された写真集『at Home』では赤ちゃんだった長男も、もう高校生になっていた。ビーチや森で遊び、伝統文化を一緒に学ぶ休日を過ごす家族たち。
3月30日に発売された桐島かれんの責任編集ムック『KAREN’s』。巻頭企画のハワイ特集に、まず驚いた。
巨大な樹木に囲まれて親子が2センチぐらいの大きさになっている写真もあり、タダゴトじゃないスケール感にわくわくする。それがワイキキから車で15分のところにある森だという。つまりはおなじみのオアフ島。けれど初めて出会ったような景色が続き、どんどんしあわせな気持ちになっていく。
撮影した上田義彦氏は、桐島かれんの夫で、この子どもたちの父親だ。撮っている上田氏も、そんな思いだったのではないだろうか。
日本編は、築100年の葉山の暮らしが舞台
帰国して、三女の誕生日パーティーのアイデアは、葉山の別荘の小屋で繰り広げられる。色彩あふれるデコレーションの連続。テーマカラーはピンクとグリーン。風船やモンステラの葉っぱなどで壁を飾り、フードコーナーも手作りだ。よく見ると、手に入らないような材料はなく、フードもフルーツを切っただけのものを並べていたりするのだが、見事にトロピカルな空間に仕上がっている。
一方で、築100年の古民家のほうの夏じたくは、簾や籐むしろ、蚊取り線香、うちわが活躍する古きよき日本の暮らし。こういう両極が、桐島かれんの日々に無理なく共存しているようだ。
世界の暮らしの多様さが醸成されて。
桐島かれんは、この本の企画立案のために、まず直筆60ページの絵コンテを書いたという。
そこで提示される生活提案は実に独特だ。子どものときから旅の中で育ち、今も自身のブランドの買い付けなどで世界を飛び回っている彼女は、いったいどれだけの国の生活文化を見てきたのだろうか。そう思うほど、クロスカルチャーなコスモポリタン。こんな発想もあったのか。毎日は楽しむためにあるんだ。世界は広いなぁ…と、読むうちに自分を閉じ込めていた狭い枠から解き放たれていく。
古今東西、自由自在。実に自由でのびやかな一冊である。
桐島かれん(きりしま・かれん)
モデル。1964年神奈川県生まれ。1986年大手化粧品会社のイメージキャラクターに起用され、脚光を浴びる。1993年に写真家の上田義彦氏と結婚、四児の母である。ライフクラフトブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクター。
『KAREN’s』は、本人直筆の60ページの絵コンテから企画が始まり、取材先の選定からスタイリング、制作、ディレクションのすべてを担当した、桐島かれんの責任編集本。