「花見をしてたら通報」「うんこで手を洗う」…日本と世界のあたりまえはこんなに違う!?
公開日:2019/4/3
日本政府観光局の統計によれば2018年の訪日外国人旅行者はついに3000万人を超え、過去最高を更新した。東京都内でも、世界各国の外国人たちが観光している姿をよく目にする。インバウンドで国内の景気が上昇するメリットがある一方で、温泉施設における刺青問題や、観光施設を傷つける旅行者などのトラブルも増加している。迷惑行為だと知りつつ行う不届き者もいるかもしれないが、多くの場合は「文化の違い」からくる誤解などが原因であることも多そうだ。それだけ我々日本人も外国人も、お互いのことをよく知らないのだ。『開幕! 世界あたりまえ会議 私の「ふつう」は、誰かの「ありえない」』(斗鬼正一/ワニブックス)に書かれている世界中の「常識」を知れば、外国人を理解する一助となるかもしれない。
本書の冒頭では「世界には196の国があり、その人口は70億人にものぼります」とある。その中で日本の人口は1億2600万人程度。我々はついつい自分を中心にして世界を考えがちだが、人口でみればせいぜい70分の1くらいの「少数派」なのだ。我々の「あたりまえ」は、世界からみれば少数派であるかもしれない。そのポイントについて、本書から日本と他国の「違い」を比較することで考えてみたい。
■30歳で独身だと、罰として街掃除(ドイツ)
最近ネットで「子供部屋おじさん」というワードを目にしたが、これは成人しても一度も親元から離れることなく「子供部屋」に居続ける人を指すそうだ。親に依存して生活していることから、その多くは独身者なのだろう。日本で高齢の独身者は増えているが、親からうるさくいわれることはあっても社会的に非難されることはない。
しかし、ブレーメンなどドイツ北部の都市では、独身のまま30歳を迎えてしまうと、街の中心にある大聖堂の掃除という罰が与えられるという。そして、未婚の異性からキスをしてもらわない限りやめられないのだ。この罰には同年代の集まる「同窓会」の意味合いもあり、罰せられている独身者たちも一緒にビールやワインを飲んで楽しむという、ある種「婚活」のような側面も。「早く結婚して子供を持てという願いや圧力が込められた通過儀礼」であり、結婚は個人の問題としているに近い日本とはかなりの違いを感じる。
■花見をしていると警察に通報される(ニュージーランド)
日本では桜が開花し、「お花見」を楽しみにしている人も多いだろう。しかし、本書によればこれは「日本独自の文化」なのだという。
南半球のニュージーランドでは9月に桜が満開を迎えるのだが、誰も花見などしていない。この理由、実は桜にあるわけではなく「酒」にある。ニュージーランドでは公園や路上など公共の場において、飲酒は禁止なのである。ゆえに公園で酒を飲みながら花見をすれば、警察に通報されてしまうことに。つまり、上野公園あたりで催される花見の宴をニュージーランドで行えば、一斉検挙されてしまうのである。日本は「酒」に関しては寛大な国のようだ。サウジアラビアでは「酒どころかうっかりみりんを持ち込んでも処罰対象」というから、外国旅行の際には気をつけておきたい。
2020年には東京オリンピックが開催され、訪日外国人旅行者は確実に増加するだろう。しかし、受け入れ態勢が整っていなければ、彼らにイヤな思いをさせてしまいかねない。「おもてなし」とは相手の心や価値観を理解して初めて成立するものだ。他国との「文化の違い」をしっかりと認識して、その上で「日本らしさ」を出していきたいものである。
文=木谷誠