「令和」に期待?「平成」約30年をデータで徹底比較! もっとも削られた出費は〇〇だった!
更新日:2019/4/19
日本では2019年5月から天皇が代替わりすることになり、元号も「令和」に変わる。「平成」は31年4月末日で終わることになった。よって平成は約30年。30年たてば、世の中は変わる。「平成」の始まりの年に産まれた子も、すでに多くの人が就職している。人々の関心・意識が変わってしまうのも道理である。
「昭和」の終わりとともに、当時の官房長官・小渕恵三氏が「平成」と書かれた額を持って記者会見した姿を鮮明に覚えている者には、「平成」の始まりと現在はまさに隔世の感がある。確かに30年前、日本では携帯電話もパソコンもほとんど普及していなかった。
本書『平成の通信簿 106のデータでみる30年』(吉野太喜/文藝春秋)はあくまで約30年前のデータ(ランキング)と最近年のそれを並べてみることで、読者が「何かしらの感想を抱いていただければ」というのが著者の希望である。106のデータを駆使して、予定調和のない、ありのままの日本をあぶりだす内容となっている。
データはおおよそ4種に分類されている。世界の中の平成日本/経済・労働からみる30年/家計・暮らしからみる30年/身体・健康からみる30年、である。
ここで本書の一部を紹介しよう。
「世界の中の平成日本」の章では、一人当たりのGDP(国内総生産国民総生産)を比較している。これはその国に暮らす人々の経済的な豊かさを表す代表的な指標である。日本は1989年(平成元年)に世界第4位、2000年は2位だったが、2017年(平成29年/データのある最近年)には25位になってしまった。近年は下降の一途をたどっている。ピークの2位から25位へ。これは日本の問題でなく、諸外国のGDPのレベルが顕著に上がったことを意味すると著者は推測する。
「家計・暮らしからみる30年」の章で、「もっとも削られた出費」は、「こづかい」である。実に約7割のダウン。だが、一世帯当たりの人数が3.6人から3.0人に減少していることや世帯主の平均年齢が49歳から60歳に上昇したことも影響しているかもしれない。子どもを持つ世帯も減少している。
「観光」の章では次のようなことが書かれている。昭和の終わり、日本人は円高とバブル景気もあいまってものすごい勢いで出国し、旅行していたが、1996年(平成8年)頃から日本人の海外旅行者数の増加は止まり、以降はずっと横ばいを続けている。2017年度は(平成29年)、年間1789万人。世界中に年間1億人が出かけるようになった中国人の数とはもはや比較にもならない。海外旅行者数の激増は、豊かになった諸外国(主にアジア人)の勢いを示しているともいえる。
データ比較の裏には、それぞれにいろいろな事情があるとわかる。「平成」の間、日本は芳しくない方向に進んでいたのだろうか? それ以上に、著者は「世界はとても良くなっていて、生活は豊かになっている。日本は相対的に位置が下がってきたのではないか」と見ているようだ。
これから来る「令和」の世に日本はどうなっていくのだろうか?
文=久松有紗子