18万部突破の『東大読書』続編! 東大式スマートな作文のコツは「枝葉切り」!?
更新日:2019/6/13
4月といえば、新入社員と思しき人たちの姿がなんとも初々しく華やぐと同時に、そんな彼らが実務で何かと戸惑う季節でもある。特に、ビジネスメールや報告書、企画書、提案書など、社会人になると、なにかと「作文力」が問われることにはたと気づく。
新入社員に限らず、SNS全盛期な昨今だけに、「ああ、共感される作文力が欲しい」とつぶやいている人たちも多いだろう。
ということで、この時期にぜひご紹介したい1冊が『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』(西岡壱誠/東洋経済新報社)だ。
著者の西岡壱誠氏は、この春から4年生となる現役東大生で、“男性版ビリギャル”としても知られる人物だ。偏差値35で東大を目指し、2浪の末、見事合格。その際に培った勉強術や読書術などを、『東大読書』(東洋経済新報社)などの「東大○○シリーズ」として書籍化している。
■ビジネス、プライベート、どちらにも使える作文力が身に付く!
本書はその東大シリーズの最新刊で、著者が東大受験と現在の学生生活や執筆活動の中で培った作文術のエッセンスを公開している。
その特長は、作文の書き方をさまざまな角度からガイドするPart1と、メール、チャット、SNS、企画書、提案書、謝罪文など、シチュエーション別の作文アドバイスが得られるPart2の2部構成になっていること。まずは、あらゆる作文の基本&応用テクニックをしっかり学び、使うシチュエーションにより、さらにプラスアルファの作文テクが身に付けられる。
まず著者がアドバイスをしているのは、「論理の貫通」の重要性だ。論理の貫通とは東大用語のようなもので、終始一貫して、書き手の主張が伝わってくる論理的な文章を指す。
作文において論理が貫通しているか否かは、東大合格を左右するほど重要な評価点であり、作文力において必須の力だという。
なにか作文をした際、「で、結局何が言いたいの?」と指摘され、落ち込んだ経験が誰にでもあるだろう。その原因は、論理に一貫性、つまり論理の貫通がないからだ。
そこで本書には、論理を貫通させるためには、作文をどう書き始めたらいいのかなど、基本から応用までのテクニックがしっかりとアドバイスされている。
■「伝わらない文章」を避けるためのテクニックとは?
そのアドバイスのひとつに「主張作りは4つの主張の型で考えよう」というのがある。
自分の感情を伝えたいなら「感情型」、出来事や状況を共有したい場合は「共有型」、お願いや要望は「要望型」、なにかをアドバイスしたりする際は「警鐘型」となる。
~型と言われてもピンと来ないだろうが、本書の例文を読めば、どれもこれもおそらく誰もが自然と使っている作文スタイルであることがわかるだろう。
ここで著者が一番伝えたいのは、多くの人が、これらの型を意識せず、ひとつの作文の中で、ごちゃまぜにして使ってしまうので「伝わらない作文になってしまう」ということ。
論理の貫通した「伝わる作文力」を得るためにも、このあたりの基礎テクニックをしっかりとマスターしていこう。
■長すぎる文章や情報過多の文章をスマートにする「枝葉切り」!?
さらに本書は、「読みやすい文章」「説得力のある文章」「読者を引き込む文章」「スマートな文章」にするための多様なテクニックを紹介している。
中でも、(端くれながらプロの作文家である)筆者が「素晴らしい」と感じたアドバイスが、「スマートな文章」にするためのテクニックだ。
これは長すぎる文章や情報量が多すぎる文章、読みにくい文章を精査し、よりスマートにするためのテクニックで、著者は「枝葉切り」と名付けている。
要は、ひとつの作文を1本の「木」に見立て、幹(主張、いいたいこと)の部分は切らずに、いかに枝葉(主張を補足する言葉や、実際は不要な言葉や文章)を整理、調整、削除するかを教えてくれているのである。
このパートでは、クイズ形式の例題もあり、実践的に枝葉切りが学べるので、ぜひ本書で挑戦してみて欲しい。「なんかいつも文章がダラダラと長いな」なんていう際には、このテクニックが大いに役立つだろう。
他にもさまざまな作文テクニックが満載の本書を読めば、作文に関する大方の悩みは解決するだろう。あとは、作文が楽しいと思えるかどうか、ではないだろうか。もし、楽しいと感じられるのであれば、きっとその人ならではの、素晴らしい作文が書けるはずである。
文=町田光