住んでからトラブルに巻き込まれないために「間取り図」で注目したいポイントを漫画で紹介!
更新日:2019/4/24
4月からの新生活で、ひとり暮らしを始めたという人は少なくないだろう。最初のうちは新鮮かつ生活サイクルに慣れるのに必死で気づかないかもしれないが、しばらくすると感じてくることがある。それは住まいの「不便さ」だ。不動産屋で物件をしっかり確認したはずなのに、意外と日当たりが悪くて布団が干せなかったり、夜中になると近所から謎の叫び声が聞こえてきたり…と、人やその部屋によってさまざまな不満が出てくる。
とはいえ、間取り図や簡単な内見だけでは物件の良し悪しは分からないという向きも多いのではないだろうか。『間取りはどれにする?』(1)(高尾じんぐ/徳間書店)は、建築学部に通う女子大生の日常を描いた漫画なのだが、部屋探しの考え方について教示してくれる“ありがたい”作品でもある。「現在部屋探し中」という人には大いに参考になるだろう。
■間取り図を見るときに注意したいポイントは?
某大学の建築学部に通う「町田かよ(メガネ、まじめ)」と「多摩めぐみ(ギャル)」はルームシェアを始めて1年と3カ月。現在の部屋が手狭になってきたということもあり、時間があればインターネットの物件サイトでよりよい部屋を探していた。「2LDK」「駅から徒歩10分以内」「バス・トイレ別」など希望は多いが、想定する家賃予算との溝はなかなか埋まらず、理想の物件は見つからない。
そういうとき、建築学科のふたりは「ある遊び」をする。それは自分の理想とする項目をどんどん組み込んだ自分たちなりの「間取り図」を作ることだ。結果、とんでもない間取り図ができあがってしまうわけだが、実はこれには利点もある。間取り図を描く前に、「ゾーニング」という、どこに何を配置するか大まかなアタリを取る作業があるのだが、これが実際の部屋探しにも役立つのだ。気になる部屋の間取り図があれば、それに配置したい家具などを「ゾーニング」することによって実際の生活がぐっとイメージしやすくなる。候補がある場合は、ぜひ引っ越し前に試してみたいテクニックだ。
他にも意識しておきたいのが「生活動線」である。自分たちの希望に近い物件を見つけたかよとめぐみは盛り上がるが、いざそこでの生活を想像してみると、実は日常の行動がかなり不便そうなことに気づく。そう、「生活動線」とはリビングやキッチンなどの間を移動する線のことなのだ。例えば洗濯機からバルコニーまでの距離が遠ければ、洗濯ものを干すのが大変になるだろう、といった感じだ。本書でかよは「生活する上で、直線的に動けるほうがシンプルで効率的」と指摘。部屋が広くなるほど生活動線の重要性は増していくので、より広い部屋への引っ越しを考えている人は知っておきたい考え方だ。
■実際住んでからトラブルに巻き込まれないために…
そして、物件サイトの間取り図でアレコレ妄想したあとは、いよいよ実際の部屋を確認する「内見」である。物件巡りに出かけた際、かよはめぐみに「物件チェックリスト」を渡す。これは部屋を見るとき、どの部分を重点的にチェックすべきかを書き出したリストだ。必要な項目は人によってさまざまだろうが、確認事項が明確なほうが漫然と内見するよりも効率的であることは間違いない。さらに、かよは不動産屋の担当者に各部屋の「空室期間・回転率・クレーム内容」を尋ねている。これを知ることで、家賃交渉の材料になったり、内見だけでは分からない「何か」が分かることもあるからだ。よい部屋に住みたいなら、念には念を入れておくべきであろう。
実は最初に述べた「布団が干せない」や「謎の叫び声」は私自身の体験なのだが、本書の主人公たちのように、物件探しのとき仲介不動産屋にしっかりと確認していれば、事前に把握できたかもしれない。部屋への不満というものは日々の積み重ねで意外とストレスにもなるので、そういったトラブルが皆無であることに越したことはない。住んでから後悔することのないよう、自分が住む物件はあらゆる手段を使って確認しておくことをオススメする。
文=木谷誠