心が汚れていない人は最強!? 周囲に振り回されない生き方

人間関係

公開日:2019/4/29

『こころを洗う技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま』(草薙龍瞬/SBクリエイティブ)

 普段生活している中で、他人の言動でイライラしたり、落ち込んだりすりことがある。自分に原因があってそれを指摘された場合であれば納得いくのだが、ただの八つ当たりや嫌がらせのような場合には何日も考え込んでしまうこともある。これは言わば、もらい事故のようなものだ。だからできるだけ面倒な人とは距離を置くようにしているが、やむを得えない場合は対処に困ってしまう。どうしたものか考えていたところに目に留まったのが『こころを洗う 技術 思考がクリアになれば人生は思いのまま』(草薙龍瞬/SBクリエイティブ)だ。

『反応しない練習』の著者でもある草薙龍瞬氏は現役の僧侶である。どちらも目からウロコの内容だったので、期待を以て読んでみると、今回も納得いく回答が得られたではないか。

 本書によれば、悩みの原因はたった3つの心の反応なのだそうだ。その反応を客観的に確認・分析していくことが大切だと説明している。3つの反応とはこのようなものだ。

advertisement

貪欲―欲求過剰な状態。
怒り―不快を感じている状態。
妄想―頭の中に言葉や音や映像が漂っている状態。

 これによると、最近筆者のストレスとなっていた原因の多くは「怒り」と「妄想」であることが理解できた。どんなに複雑に絡んだ悩みであってもこの3つに分類されるので、これらの心の反応を消してしまえば悩み自体がなくなるというのだ。

 反応を消していくには、悩みを「このイライラは妄想が原因である」「この感情は怒りに分類される」という具合に冷静に分類していき、それらを自覚できたところで悩みの消えるプロセスに反応が変わっていくのだという。筆者も実践する、確かに自然に悩みが解消されて心が楽になったから不思議である。

 この作業の中で気が付いたのは「自分にも問題があるのではないか」ということである。3つの反応の中の「貪欲」は過剰な期待、つまり、期待に沿わない結果であったために悩んでいたということではないのか? だとしたら問題の原因は自分にあり、自分を変えていくことで今後この心の反応がなくなるかもしれない。

 本書には「貪欲」「怒り」「妄想」への対処法も解説されている。人によってはやや難しいかもしれないが、少なくとも筆者は心が穏やかになれた。

 周囲の言動に反応してしまうと、心が落ち着かなくなり、集中力を欠いてしまう。余計なことに時間を取られてしまうこともある。結果、無理に押さえ込んでも正常に解決できていないことになるわけだが、それを無理に押さえ込もうとしても正常に解決できていないということに気づかされた。反応せず、常にクリーンでニュートラルな心でいる人間は強いと筆者は感じる。振り回されることなく、自分のペースで進んでいけるからだ。

 本書では面倒な人やあまり関わりを持ちたくない人との接し方についても解説しているので、周囲に反応せず、強い精神を持ちたいと思っている人はぜひ読んでほしいと思う。

文=いしい