誰かが評価してくれるはず… は女性の“悪癖”です!出世を阻む女の落とし穴とは

ビジネス

公開日:2019/4/30

『コーチングの神様が教える「できる女」の法則』(サリー・ヘルゲセン、マーシャル・ゴールドスミス:著、斎藤聖美:訳/日本経済新聞出版社)

 まさに衝撃だった。今まで自分を良く見せようと、とっていた行動が、すべて逆効果だったかもしれない、と、この本で指摘されて。もっと早くにこの本に出会っていたら、もしかしたら人生変わっていたかもしれない…。

 女性リーダーシップ関連書のベストセラー作家であるサリー・ヘルゲセン氏と全米ナンバーワンのエグゼクティブ・コーチであるマーシャル・ゴールドスミス氏。リーダー育成のエキスパートである両氏がタッグを組み、その英知を集結させた最新刊がこの『コーチングの神様が教える「できる女」の法則』(日本経済新聞出版社)だ。「アメリカの女性たち向けリーダー育成書だから、あんまり役に立たないかも。バリバリ積極的に働いているアメリカの女性たちと、日本の自分たちとでは状況が違いすぎるのでは?」と、最初ははっきり言って期待していなかった。が、最初の数ページ読んだだけで、ぐっと引き込まれ、どんどんのめり込んでしまった。例として取り上げられる女性たちの行動、そしてその結果が、他人事とは思えなかったからだ。

 登場する女性たちは確かに皆、素晴らしいキャリアの持ち主だ。が、彼女たちの物の見方、感じ方にはとても近しいものを感じたし、なにより彼女たちを取り巻く会社環境が日本のそれと驚くほどよく似ている! アメリカって思った以上に「男性優位社会」なのだ。その中で彼女たちが良かれと思ってとった行動(自分もその立場だったら、きっと同じようにするだろう行動)が、逆に彼女たちの評価を下げてしまっている…その有り様に愕然とした。

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 本書ではそのような、仕事で正当に評価されることを妨げる「女性ならではの行動」を12の「悪癖」として紹介する。最初に紹介されるのは「自分の実績をきちんと言わない」だ。「これは私がやりました」なんて、自分のことをひけらかすみたいに言うのは気がひけるし、人に褒められると謙遜して、全否定するようなことまで言ってしまう。でしゃばらない、控えめな態度はまさに「美徳」だと思っていた。が、その態度は、自分に自信がないと取られかねず、「自分がしていることにあまり価値を置いていないというメッセージを送ること」になってしまう。自分の功績をきちんと話すことは「自己中心的でも自分勝手でもない。前進する準備ができているというシグナルを送るだけだ」。なんと!「能ある鷹は爪を隠す」を気取っていたのに、知らない間に、一体いくつのチャンスを逃したことかと思うと、がっくりした。

「あなたの仕事ぶりを他の人が自然に気づいて報いてくれると期待する」ことについての指摘も耳が痛い。何故これが悪癖?と最初は思った。いい仕事をすれば当然周りが評価してくれるはずだ、と。でも、もしも気づいてもらえなかったら? それこそ「望む賞賛を得られていない、評価されていない、認められていないと感じるだろう」し、仕事のやる気がどんどん削がれるだろう。ついには適職だったかどうかを疑い出して、結局退職…。これではあまりにつまらなすぎる。やりたい仕事があるなら、受け身なだけ、待っているだけではだめなのだ。

「自分を卑下しすぎる」「完璧主義を目指しすぎる」「終わったことをくよくよ悩む」などなど、取り上げられる「悪癖」は、どれも一見キャリアを築くこととはまったく関係なさそうなものばかり。だからこそ罠にはまってしまうのだと、この本を読んで深く納得。最近仕事がうまくいかない女性はもちろん、新入社員であろうとベテランOLであろうと、キャリアアップを目指すなら、一刻も早く読んでほしい1冊だ。

文=川嶋 由香里