『この英語、どう違う?』「will」と「be going to」/【連載第7回】

生活

公開日:2019/5/3

『この英語、どう違う?』(ルーク・タニクリフ/KADOKAWA)は、日本人が間違いやすい、似た意味を持つ2つの英単語の違いを分かりやすく解説した1冊です。どれも日本人になじみ深い単語なので、しばらく英語から離れていた人でも楽しく読めることうけあい。ここで、本書で紹介している英単語を10組ピックアップして紹介します。第7回は「will」と「be going to」の違いです。

will vs. be going to ――「~するでしょう」を表すことば

 willとbe going toはいずれも未来のことを表す表現ですが、実際にはまったく同じ意味を表すわけではありません。

 先日、玄関のチャイムがピンポンと鳴って、友人が突然現れました。彼は「連絡しなかったけど、近所にいたから、寄ってみようと思った」と言いました。What do you have to eat? 「食べ物は何がある?」と聞かれたので、冷蔵庫を開けると、食べられる物は何もなかったことに気づきました。そのとき僕は、

Oh no. There's nothing in the fridge. I will go and get some snacks from the convenience store.
(やばい。冷蔵庫に何もない。コンビニにおやつを買いに行ってくるね)

 と言いました。このとき、僕はwillを使いました。

 ですが、もしも冷蔵庫に食べ物が何もないとすでにわかっている場合なら、こう言います。

I am going to go and get some snacks from the convenience store.
(コンビニにおやつを買いに行ってくるね)

 なぜこの場合、willではなくbe going toを使うのでしょうか。それは、話す前に何かを決めた場合、be going toを使うからです。一方、話しながら何かを決めた場合には、willを使います。

 多くの文章では、willとbe going toのいずれも使えますが、ニュアンスが微妙に違います。

①I'll send you an email tomorrow.
②I am going to send you an email tomorrow.

 いずれの文章も正しいのですが、①のほうが少し強い感じがします。たまに「be going toと違って、willという単語は話し手の意思を表す」という意見を聞きますが、実際には、いずれの表現も意思を表します。ただし、willはより強い意思を表すのです。

 上の例文では、いずれの文章の話者にも、メールを送る意思があるのですが、①の話者は絶対にメールを送ります。②の文章の話者はメールを送るつもりです。be going toには「(何かを)するつもり」「計画を立てた」というニュアンスがあります。

 とはいえ、ネイティブだって、しゃべっているときには、そこまで深く考えません。「絶対にメールを送るということは100パーセント送るという意味だから、ここではwillを使う」というふうに考えるネイティブはいません。実際の会話では、多くの場合はwillとbe going toの意味は同じです。

「話し手の意思」のニュアンスを把握するために、より極端な例文を見てみましょう。

③You will die.
④You are going to die.

 上の2つの文は、確実にニュアンスが異なります。いずれの文も映画でよく耳にしますが、③は殺人鬼や暴力的な人が言いそうな台詞です。④の文は、お医者さんが末期患者に言いそうな台詞です。

 どういうことかというと、③のwillには、話し手の意思で聞き手が死ぬというニュアンスがあります。④の文のニュアンスは、話し手(お医者さん)には手の施しようがなく助けられないから、覚悟したほうがいいということです。お医者さんが③の表現を使ったら、患者さんはSomebody help me!と叫びそうです。

 何かを予想するときは、多くの場合、willとbe going toを置き換えることができます。

Next year will be very interesting.
Next year is going to be very interesting.
(来年はとても面白くなりそうです)

He will be a great teacher.
He is going to be a great teacher.
(彼はすばらしい先生になりそうです)

 ちなみに、before、after、when、whileなどで時間を表現するときは、willやbe going toのような未来のことを表す表現は使いません。代わりに、現在形を使います。ここは日本人が間違いやすい部分です。

× When you will come tonight, let's watch a movie.
○ When you come tonight, let's watch a movie.
(君が今夜来たとき、映画を見よう)

まとめ

 どちらも話し手の意思を表すが、willのほうが強い意思を表す。また、話しながら決めていることにはwill、話す前から決定していることにはbe going toを使う。

第8回に続く

【著者プロフィール】
ルーク・タニクリフ(Luke Tunnicliffe)

1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。Wesleyan Universityを卒業後、雑誌編集者/記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で2年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。
2010年に開設した自身のホームページ「英語 with Luke」は開設直後からコアな英語学習者の間で話題となる。「元気ですか?を意味する20のフレーズ」「ハーフは英語で何というか」「セミコロンの使い方」といった、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事でまたたく間に人気を博し、月間150万PVを記録する破格の人気サイトとなっている。
英語 with Luke:https://www.eigowithluke.com/
Twitter:@eigowithluke