部下には“ずけずけ”語れ!? シリコンバレー流、徹底的な“ホンネ”メソッド

ビジネス

公開日:2019/5/6

『GREAT BOSS(グレートボス):シリコンバレー式ずけずけ言う力』(キム・スコット:著、関美和:訳/東洋経済新報社)

「部下をきちんと叱るのが苦手」という社会人は多いだろう。その理由には、「叱ると自分が嫌われてしまう気がする」「がっかりされると心が痛む」「相手の働く意欲を奪ってしまう気がする」などが挙がる。それらの負担から逃げるために「問題を放置したままにしておく」「相手に黙ってミスを直しておく」「ハッキリと指摘せずあいまいな言い方に終わる」というふうに済ませてしまっているかもしれない。

 そんな悩める上司に救いの手を差し伸べてくれるのが『GREAT BOSS(グレートボス):シリコンバレー式ずけずけ言う力』(キム・スコット:著、関美和:訳/東洋経済新報社)という1冊だ。本書によれば、部下へのフィードバックの形は以下の3つのどれかに陥りがちだという。

・過剰な配慮…相手を気にかけているが、ズバリとは言えないタイプ。緊張させたり戸惑わせたりしたくなくてハッキリ指摘できない。チームの和に気を遣いすぎてぎこちない。愛する子どもをしつけられない親のようなもの。部下との接し方で一番犯しがちな過ち。

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・摩擦の回避…相手のことより自分の保身を考えて、ズバリとは言わないタイプ。自分が好かれることを念頭に置いたり、いい人のふりをすることで社内で得をすると考えたりして、ホンネを言わない。口先だけで部下の評価をする。

・イヤミな攻撃…相手を気にかけていないし、ズバリと言うタイプ。部下を馬鹿にしたり、人前で恥をかかせたり、萎縮させたりする。部下は一時的に仕事で成果を上げることはできても、そのうち辞めていったりしてしまう。

 あなたや同僚の姿に当てはまるものはあっただろうか。では、一体どんなスタイルが理想的なのだろう。本書の答えは「徹底的なホンネ」というやり方だ。

・徹底的なホンネ…心から相手を気にかけていて、言いにくいことをズバリと言うタイプ。仕事上の鎧を捨て、プロらしくない自分の姿も見せている。部下とホンネでコミュニケーションして信頼を築いているので、職場の風通しが良い。

 とはいえこの「徹底的なホンネ」をいきなり実行しろと言われても難しいだろう。建前を気にする日本人なら尚更だ。しかし、それでも大丈夫。「徹底的なホンネ」を出せる文化を築くには、実は順番が存在する。まずは「自分を批判してもらうこと」から始めるのだ。本書はその流れをこう示している。

まずは「徹底的なホンネ」のコンセプトをチームメンバーに説明して、上司のあなたに対してホンネを出してほしいと頼むことからはじめるといい。つまり、あなたの気持ちをぶちまけるのではなく、周囲に批判してもらう方が先だ。そして、あなたがホンネを出す時になったら、批判ではなく褒めることからはじめよう。「徹底的なホンネ」と「イヤミな攻撃」の境目がはっきりとわかったら、批判に移ろう。

「徹底的なホンネ」のコンセプトについては、本書を参照してほしい。あなたがいざ部下にコンセプトを説明するそのときは、「自分もよく間違える」「間違っていたら教えて欲しい」「反対意見を歓迎している」という言い方をすれば受け入れてもらいやすいだろう。

「ホンネ」でモノを語るのは誰にとってもなかなか難しいものだ。けれど一度ホンネのコミュニケーションを始めてしまえば、チームメンバーとの関係が劇的に変わり、建設的な議論が生まれる。互いに信頼のある関係は職場の居心地を最高のものにするだろう。思いやりと結果が共存する究極の“ホンネ”メソッドを、ぜひあなたにも試してほしい。

文=ジョセート