GWは思う存分、自分を甘やかしてみては?『花のズボラ飯』の主人公にならう“ズボラごはん”のすすめ
公開日:2019/5/1
無精でだらしない、との意味を持つ「ズボラ」という言葉。良い意味で使われる機会は少ないが、誰しもそんな一面を持ち合わせているはず。
『花のズボラ飯』(久住昌之:原作、水沢悦子:作画/秋田書店)は、かわいすぎるズボラ主婦の暮らしを描いたグルメマンガである。いつもは背筋を伸ばして仕事や家事をこなしている方も、本作を参考にゴールデンウイークはダラダラとリラックスモードで過ごしてみてはいかがだろうか。
主人公は、単身赴任の夫を持つ30歳の主婦・駒沢花(こまざわ・はな)。筋金入りのズボラ女子の花は、夫が帰ってくる数日間以外は掃除や洗濯も放置気味……。溜まってきたタイミングで、一大決心をして取り掛かるのだ。ひとり暮らし経験者であれば、誰しも「あるある」と頷く生活を送る彼女の食事は、特製のズボラメニュー。“手間いらず、でもとびきり美味しい”がテーマのごはんを食べながら、毎日のびのびと暮らしている。
ある日、勤務先の書店での嫌な出来事のせいで、花は意気消沈。「やな客に会うとホント疲れ倍増。本を読む気にもなれまセーヌ川」……と、得意のダジャレを呟くもいつもの調子を取り戻せないでいた。自宅に帰ってきた花は、トボトボと重い足取りでキッチンに向かう。手にしたのは、炊飯器で保温になっていたごはんと生卵。ほかほかの白米に卵を混ぜ、しば漬けをポリポリ。さっきまでの元気がない様子が嘘のように、豪快に卵かけごはんをかきこむのだった。
“ウンマ~~ッ”
今ならアタシ、ブタと呼ばれてもいいっ 幸せなブタちゃんです”
あまりの美味しさに高揚する花の表情は愛おしく、読者は無意識のうちに頬が緩む。本作は、グルメマンガでありながら魅力は食事シーンだけではない。旦那さんのサプライズ帰宅が決まり大急ぎで部屋の片付けをする姿、夕飯のステーキが待ち遠しくて小躍りする様子、「夏目漱石でもひもとくか!」と意気込むものの1ページも読まずに眠ってしまうズボラっぷりなど、花の一つひとつの表情や動作に読者は惹かれていくのだ。
仕事と真摯に向き合う時間や、家族や友人とにぎやかに過ごす時間は、人生にとって欠かせない重要なもの。しかし、そんな時間と同じように大切にすべきなのが“自分を甘やかす時間”ではないだろうか。今年のゴールデンウイークは超ズボラ主婦の花を見習って、とことん自分を甘やかす連休にしても悪くないはずだ。
文=山本杏奈