人生、折り返してからの方が楽しいってよ! ジェーン・スーとわが道を歩く8人が語る!
更新日:2019/5/13
『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)は、『小説幻冬』(2016年11月号~2018年8月号)での連載「もういちど話したかった」に加筆・修正したものだ。
本書はジェーン・スーさんと8人の論客との対談を収録。その8人とは、光浦靖子、山内マリコ、中野信子、田中俊之、海野つなみ、宇多丸、酒井順子、能町みね子(能町さんとは初対談)の各氏だ。
トークテーマはとくに設けず、自由な対談だったようだが、おおよそその人の過去・現状・未来への展望等が語られている。同時にジェーンさんのそれを自ら語る場面もあり、「こんな人だったんだ」という意外な発見もある。
ほんの少し対談の中から面白かったところを紹介しよう。
「ライムスター」の宇多丸さんは、スキンヘッドに黒いサングラスがトレードマークで、ジェーンさんとは学生時代からの知り合いだったという。対談ではその思い出話に花が咲く。「アフロに軍パン」で、女子大で浮きまくっていた当時のジェーンさんにお会いしたかった!
「山手線の新駅名称・高輪ゲートウェイを高輪にするべき」と署名を集めたことでも話題となった能町みね子さんとの対談。お互いに未婚だが、同居している男性がいて、家事もほとんどやってもらっているという。能町さんが、「今日は外でご飯食べるからいいや」と伝えると「食材が腐る~」と文句を言われたことに触れ、「まるで昭和のサラリーマンと主婦のやりとり」じゃないか、とジェーンさんは返す。男性が「アラサーOL」みたいになるとか、生活費をより多く獲得するため「春闘」でベースアップする話とか、2人の対談は失礼かもしれないが、笑える。
ジェーンさんは次のようなことも言っている。
たった一つの正解しかなかった親の世代とは異なる私たちが、これから先、楽しく暮らしていく手がかりがこの本にはちりばめられている。人生、折り返してからの方が楽しいかもしれない。
多様な生き方が許容されるようになった今、いい時代になったなあと思わせてくれる本書は、肩の力を抜いて面白がりながら読んでみたい一冊である。
文=久松有紗子