大型連休明けの「5月病」と女性の大敵PMS…自分を責めてしまう前にこうしよう
更新日:2019/6/24
女性特有のからだの不調やトラブルで悩んでいませんか。「お医者さんに行くほどではない…」「デリケートなことなので人には聞きにくい…」そんな体の悩みを、All Aboutガイドであり、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長の清水なほみ先生に聞きました。自分のからだと向き合い、健やかに過ごす手助けとなってくれることでしょう。
月経前症候群(PMS)は、排卵日から月経までの期間にさまざまな心身の不調が現れる状態を指します。人によっては、気分の落ち込みやイライラなどの精神症状がメインに出てくることもありますが、これらの「PMSによる精神症状」と、うつ病や適応障害などの病名がつく精神症状が「月経周期によって軽く出たりひどくなったりする」場合の区別がつきにくいケースもあるのです。
なんとなく月経前にイライラしやすいなとか、気分の落ち込みが激しくなったなと思ったら月経が来る、といった、精神症状が月経周期によって「波打っているな」と感じることは珍しいことではありません。病気という範疇に入らなくても、月経前はどちらかというとスッキリした気分になりにくい人がほとんどなのです。そういった「気分のむら」が、日常生活や仕事などに支障をきたしてしまうほどひどい場合、PMSであっても精神症状の月経周期増悪であっても治療の対象になります。
4月は年度が替わり、5月は新生活から一息つき、6月は梅雨時になって太陽の光を浴びる機会が減る…というように、実は年度替わり~初夏にかけての季節は、気分の落ち込みが起こりやすい条件がそろっている時期です。よく「5月病」と言ったりしますが、環境の変化についていけなかったり、必死についていこうとして頑張りすぎて糸が切れてしまったりすると、やる気が出ない・気分が落ち込む・自分を責めがちになるなどの症状が出る場合があります。これらの症状が、月経周期にともなって大きく波打ったり、月経前症状としての精神症状がこれらの季節に強く出たりすることもあるため、「なんとなくいつもより感情の振れ幅が大きいな」と感じたら、一度心療内科か婦人科で相談してみるとよいでしょう。
抑うつ症状のベースにあるのは、「ぶつけどころのない理不尽な思いや怒り」です。環境や立場が変わったり、接する人間関係が変わったりすると、これらの思いを抱え込みやすくなります。また、月経前症状が出やすい人は「原因を自分以外の『外』に見出だしている」「誰か・何かに『振り回される』という生き方のスタンスをとっている」という特徴があります。こういった、抑え込んでいる感情や不都合な物事の捉え方がないか、チェックしてみるのもおすすめです。
精神症状がメインのPMSであっても、治療方法はピル・漢方・安定剤や抗うつ薬などの投与が一般的です。また、薬物治療と併せて、生活改善や栄養改善も非常に重要です。精神症状が強い場合は、一番有効な治療はカウンセリングであるというケースも少なくありません。自分に合った治療法を選んで、人生の主導権を取り戻してみてはいかがでしょうか。
精神的な症状は、「性格のせい」でも「我慢が足りないせい」でもありません。自分の本心が「そのままの方向で進まないで~」とサインを出してきているのです。それらのサインにふたをせず、きちんと耳を傾けることが「本当の自分の姿」で生きることにつながります。