「へ~、部長ゴルフやられるんですね」これのどこが間違い? 一言で印象が変わる社会人の日本語
公開日:2019/5/12
二十歳を超えると、ましてや社会人になると「もう大人なのに」と軽く説教されたり失笑されたりすることが増える。行動もさることながら、言葉ひとつをとってそのように冷水を浴びせられることがあるから、大人社会は恐い。大人になると「知らない」では済まされないことが多いのだ。最低限の言葉づかいは身につけておきたい。
いわゆる「飲みニケーション」やパワハラ・モラハラが語られるようになり、飲み会・懇親会への参加を求める会社は減ってきているかもしれないが、新社会人となったあなたは、今後幾度も参加を求められる場面を迎えるだろう。
本稿では『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(吉田裕子/筑摩書房)から、飲み会でも使えそうな正しい言葉づかいを見ていきたい。
もしあなたが「飲み会が好きだ」「勉強になるから積極的に行きたい」という人だったら、それでいい。しかし、もし“行きたくない”懇親会に誘われたら、どのように断るのがクレバーだろうか?
「その日はもう予定が入っているんです」
本書では、この答え方の評価を「△」だとしている。もし本当に予定が入っているのだとしても、この答え方では、わざわざ自分を誘ってくれた人を傷つけたり不快にさせたりする恐れがあるからだ。こういうときは、言葉の選び方に注意して、「その期待に答えたいと思ってはいるが、諸々の事情で難しい」というニュアンスを盛り込むといい。
「あいにく、その日は先約がありまして」
このように「あいにく…」というクッション言葉を用いる。飲み会だけに限らず、断る際には義理人情をにじませるようにするといい。無理である理由を論理的に伝えるだけでは、ドライすぎる印象を与えてしまうことがあるからだ。
さて、断りきれず懇親会に参加したあなたは、上司と話している中で趣味の話題になった。上司はゴルフが好きなようだ。このとき、あなたは「へ~」というニュアンスで、次のような言葉を口にするかもしれない。
「へ~、ゴルフやられるんですね」
上司の「ゴルフをしている」という言葉に対して、そのまま返しているだけだが、これだと相手を立てるニュアンスは生まれない。せっかく相手が趣味を教えてくれたのだから、そのゴルフという趣味をちょっとした表現の工夫で、立ててみよう。
「ゴルフを嗜んでいらっしゃるんですね」
「嗜む(たしなむ)」は「お酒を嗜む」のようにも使われるが、その趣味における教養や腕前を評価しているような感じが伴う。相手は自分の趣味を肯定されたように捉えるため、自分に対する好感度が増す。さらりと使えておトクな表現だ。
大人になると、これまで自分が使わなかった語彙が求められる場面に出くわす。本書は、「3回使えば、その言葉は自分のものになる」と述べる。なかなか自然には出てこない、自分にとっては背伸びをするような表現でも、3回使うことで、自分の操れる範囲に入ってくるという。新社会人の皆さんには、ぜひ本書の言葉を3回使って、真の大人の仲間入りを果たしてもらいたい。
文=ルートつつみ