32歳独身男子の初恋はピュアでパワフル! 初めて同士アラサーカップルの日常を描く『アラサーだけど、初恋です。』

マンガ

更新日:2019/5/11

『アラサーだけど、初恋です。』(310/スクウェア・エニックス)

「恋」を自覚するのは、どんなタイミングでしょうか。その人のことばかりを考えてしまったり、素直になれず「今日あんなこと言っちゃったけど、嫌われてないかな…?」と、不安になったり。とても疲れるけど、とても楽しい、それが恋愛の醍醐味かもしれません。

 長らく忘れていた、そんな甘酸っぱい感覚を思い出させてくれるのが『アラサーだけど、初恋です。』(310/スクウェア・エニックス)。現在、pixivコミックにて連載中の同作は、SNSを中心に話題を呼び、書籍も重版を重ねている人気作です。

 主人公の井上叶多(かなた)は、恋愛経験ゼロの32歳独身男性。そんな彼が、28歳のほんわかアラサー女性・山本優海(ゆうみ)に恋をしたところから物語がスタートします。

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 井上くんは、これまでモテなかったわけではないけれど「好き」を自覚したことがなく、好きでもない人とは付き合いたくない…そんなことを考えていたら、いつの間にか三十路を超えていた不遇なアラサー男性。32年間、女性に興味が持てなかった井上くんは、大学の後輩・倉田から「女の子紹介してあげましょうか?」という言葉とともに送られてきた、ひとりの女性の写真を見て一目惚れ。晴れて初恋と相成りました。彼のハートを射止めたのは、おっとりとしたやわらかい笑顔がステキな可愛い女性・山本さん。

 年齢=彼女いない歴街道を爆走してきた彼は、恋をしたはいいものの彼女に好意の伝えかたもわからない状況です。愛しの山本さんとの初対面の日、彼はとにかく余裕のなさを悟られないように平静を装いますが、必死さがだだ漏れになってしまいます。唯一の救いは、山本さんもまた、今まで一度も交際をしたことがないウブなアラサー女性だったことでしょう。初対面の緊張は、お互いに同じだったのです。

 恋愛経験ゼロからはじまったふたりの恋。はたして、付き合うまで5万年くらいかかるのかと思われましたが、なんと初恋相手と初対面の席で井上くんは告白をかまします。それは山本さんに、井上くんと倉田さんが以前付き合っていたのでは、と尋ねられたときでした。

「俺が付き合いたいのは山本さんでっ 倉田はただの後輩です! こいつと付き合いたいなんて一度も思ったことないです!!」

 このように、半ば事故に近い形で「付き合いたいのは山本さん」という告白をしたのでした。まさかのタイミングで告白をされ、驚きを隠せない山本さんでしたが、井上くんの誠実さに胸打たれて交際を承諾。驚異のスピード交際でした。そうだよね、アラサーの初恋に、恋の駆け引きなんてものは必要ないよね!

 勢いよくはじまった交際でしたが、井上くんは「付き合ってどれくらいで下の名前で呼んでいいのかな」と、幼なじみの中村くんに相談したり、デートで山本さんのおでこにキスをしたら、次のデートでお互いに意識しすぎてギクシャクしたりと、なかなかのピュアっぷり。

 なかなか進展しないふたりに、やきもきしながらも心のどこかで「そのままでいて…」と思わせるのが、井上・山本カップルの魅力です。ピュアでストレートなアラサーカップルが過ごす幸せ満点な日々。一度読めば、きっとふたりを応援したくなること請け合いです。

文=丸井カナコ