芸能界でも通用した! カトパンが教える“愛される対人関係の築き方”
更新日:2019/5/26
書店に行けば、より良いコミュニケーションを行う方法について記された書籍が山のように並んでいる。対人関係でうまくいかない、というコンプレックスは、実は多くの人にとっての根深い悩みである。私もそんな悩みをもつ1人だ。対人関係で悩む人たちにとって、アナウンサーや芸能人という職業についている人は、雲の上の存在だ。特にアナウンサーは、人前で間違えずにニュースを読み上げ、コメンテーターとの会話をこなし、放送中のアクシデントにも慌てることなく臨機応変に対応する。対話のプロフェッショナルと言えるだろう。
『会話は、とぎれていい 愛される48のヒント』(加藤綾子/文響社)は、『めざましテレビ』『笑っていいとも!』でレギュラーを務めた元フジテレビアナウンサーの加藤綾子さん自身が仕事上で会った人々(主に芸能人)から得た、対人関係が円滑に進む(愛される)秘訣を紹介する1冊になっている。
芸能人とのやり取りで学んだ対人関係の秘訣といっても、特別なことはなく、どれも本書を読んですぐに取り入れられそうなものが多い。
こんなエピソードがある。
加藤さんは初めて会った某お笑い芸人に「女子アナになれたからといって調子にのっているんだろう」と言われたことがあった。それを聞いて彼女は、なんて失礼な人だろうと衝撃を受けたが、しかしその場で感情的に反発せず、のらりくらりと彼に接するようにした。その後、厳しい態度だったそのお笑い芸人は、温かく接してくれるようになったという。
加藤さんはこの経験から、初対面のアプローチの仕方だけで相手を判断せず、長期間かけて関係を築くことを心がけるようになった。
こういうことを経験した人も多いのではないだろうか。最初に厳しい態度だった上司でも、時間をかけてコミュニケーションをはかっていくと人となりがわかって良好な関係が築ける、などといったことが。
この「某お笑い芸人」とは、実は、毎日のようにテレビに映っている「爆笑問題」の太田光さんだ。このように本書では、加藤さんが対面したひとりひとりから受けた印象や心配りに関するエピソードについて、丁寧に紹介されている。
私はここに、加藤さん自身が愛される要素を感じる。話す相手のことをよく見て、その在り方に否定的にならず、柔軟に接する。そんな優しさがあるのだ。
本書はそのほかにも、毒舌キャラのイメージがある某タレントが、張り詰めたスタジオの空気を一変させるようなフォローをしたときのことや、某司会者が若手のスタッフがのびのび働けるような接し方をしているときのことなどが紹介されている。普段テレビで見慣れているタレントたちの、テレビに映っていないときの魅力的なエピソードを、本書を手に取ってもらって確かめてほしい。
文=音田アユム