MBA必読書50冊がこの1冊に凝縮! ビジネス知識レベルを爆上げしライバルと差をつけよう
公開日:2019/5/29
日本人は勤勉だという。古くから言われている国民性だ。
しかし、『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚/KADOKAWA)では、冒頭からその定説をばっさり切り捨てている。著者の永井孝尚氏いわく、日本人は仕事のセオリーがわかっていないまま仕事に打ち込む、愚直で効率の悪い働き方をしているという。セオリーよりも精神論を重視する日本企業は、ウサギ飛びをさせたり水を飲ませずに運動させたりする1970年代の運動部と同じである、と。
スポーツでより良いパフォーマンスを目指すためには、どこの筋肉を鍛えればいいか、自分の悪いフォームをどう改善するか、理論的に知らなくてはならない。仕事も一緒だ。基礎の理論を身につけることで効率的に仕事ができる。
そうはいっても日本のビジネスパーソンは時間がない。8時間の勤務時間、そのあとの残業、家に帰るころには1冊の本を読む余裕すらない人も多いだろう。
本書は、そんな忙しい日本のビジネスパーソンに必読の書だ。海外で活躍するMBAエリートに読み継がれているビジネス関連本50冊を選りすぐり、面白く実践的に紹介している。
■我を忘れて取り組んだ経験があなたを成長させる
「仕事に達成感がない…」と悩む人には『フロー体験入門』を。
あなたには好きなことに対して時間を忘れるほど熱中したことがあるだろうか? 『フロー体験入門』ではそんな体験を「フロー体験(flow:水が流れる)」と名付けている。フロー体験中、人は高い集中力と創造性を獲得する。これを仕事に活用することができれば、あなたの仕事の効率はさらにアップするだろう。
どのような条件でフロー体験が引き出せるようになるのか。『フロー体験入門』では、(1)具体的な行動を必要とする明確な目標、(2)行動した結果のフィードバックがすぐに得られること、(3)自分のスキルレベルと挑戦レベルが釣りあっていること、という条件がフロー状態を生むと提示している。
■既存のものから新たなものを生み出すことが経済の要となる
『企業家とは何か』は、シュンペーターによるイノベーション論、起業家論をまとめた1冊だ。シュンペーターは1900年代に活躍した経済学者。彼の著作は現代のイノベーション論の源流であり、この本に書かれていることがわかれば起業と新規事業についてより深く理解できるようになるだろう。
作中ではイノベーションについて、2007年に発表されたiPhoneを例に説明している。iPod、携帯電話、ネット通信。これらは当時既に存在していたデバイスだった。それらを複合させたツールであるiPhoneは、文字通り我々の生活を大きく変えた。このように、既にあるものを掛け合わせると、まったく思いもよらないほどの価値を生むかもしれない。
シュンペーターはこのような「既存知と既存知の新しい組み合わせ」を「新結合」と呼んだ。
シュンペーターは100年も前の経済学者だが、既存のものを組み合わせて新しいものを生み出すことは、現代に生きる我々にも常に求められている。彼のセオリーを学ぶことで、イノベーションを生み出すチャンスは大きくなるかもしれない。
本書では、一見とっつきにくいような名著も端的にわかりやすくまとめられている。興味をもったものはぜひオリジナルにも挑戦してみるといいだろう。経営理論は自分には関係ないと思っている人にも、きっと役立つ1冊が見つけられるはずだ。
文=音田アユム