アラサー女子のあるある満載?都会で生き抜く独身女子のサバイバルコメディ『アラサーはBarにいる』
公開日:2019/6/16
仕事の鬱憤、恋愛や対人関係のイザコザ、蓄積する疲労など……誰にでも“飲まなきゃやっていられない”と感じる夜はある。
『アラサーはBarにいる』(小夏ゆーた/日本文芸社)は、都会にポツンと佇むバーで繰り広げられるアラサー女子のコメディである。
主人公は婚活や仕事に疲れを感じているアラサー女子、香西泉。彼女の趣味は日々の癒しを求め、ひとりで行きつけのバーに通うこと。なかなかデレないツンデレマスターの悪態や辛辣なコメントにめげず、日々の愚痴や悩みをブチまけていた。
ある夜の相談テーマは「合コン」。職場の後輩・ハナちゃんに誘われた合コンに気合を入れて参加した泉だったが、開始早々引き立て役に徹してしまい大後悔していた。気を取り直し、アピールのための「サラダの取り分けに命を燃やす女=“トング女作戦”」実行を決意。しかし、お目当てのサラダが運ばれて意気揚々とトングを握りしめた瞬間、ハナちゃんが甘い声でポツリ。
“あ~あ、お肉まだかなぁ~”
肉食キャラを装うハナちゃんに、まんまと食いつく男性陣。ハナちゃんの呟きは、泉のトングよりもはるかに魅力的だったのだ。合コン後、泉はいつも通りバーに立ち寄る。マスターお手製の野菜スティックをポリポリとかじりながら、野菜の甘さとマスターの分かりづらい優しさを噛みしめるのだった。
しかし、そんな崖っぷちアラサーの泉にも大チャンスが到来する。偶然、理想通りのイケメンサラリーマンとバーで居合わせたのだ。彼を完璧にロックオンした泉は、普段は飲まないカルーアミルクを注文。かわいらしい女を演じながら、順調に会話を弾ませる。しかし、そんな時間も束の間……。彼が席を立ち、マスターとふたりきりになった途端に泉の緊張と猫かぶりが解けてしまった。
“こんな絶好のチャンスもうないかもしれないのよ!?カモがネギしょって来たようなものなんだから”
“彼は私の獲物!生け捕りにするしかないわ!!”
高らかに宣言する泉の後ろには、茫然と立ちすくむイケメンサラリーマンの姿が……。泉の作戦はまたしても失敗に終わってしまうのだ。
果たして、泉が幸せを掴める日は来るのだろうか。「もしかしたら、運命の相手はツンデレマスターかも?」と淡い妄想を抱きながら、彼女の奮闘っぷりを見守りたい。
文=山本杏奈