家の中がみるみるスッキリ! 整理収納アドバイザーが教える、居心地のよい住まいのつくりかた

暮らし

公開日:2019/6/17

『スマホひとつで暮らしたい』(飯島彩香/KADOKAWA)

 断捨離ブーム、こんまり人気により、最小限の持ち物で暮らす「ミニマリスト」が着実に増えている。ミニマリストの多くは、引っ越しや海外移住などがきっかけで、ミニマルライフを始めることが多いようだ。

 『スマホひとつで暮らしたい』(KADOKAWA)の著者で、整理収納アドバイザー&大人気インスタグラマーの飯島彩香さんも、ご主人の海外研修のために半年間、海外で生活したことがきっかけだったという。

 必要な物だけに囲まれて暮らす飯島家は、夫婦そろってのミニマリスト&旅好き。夢は、必要のないものはもちろん、お金すら持たずに、スマホとパスポートだけ携行して海外旅行をすることだという。

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 そんな飯島家のシンプルな暮らし方の実例の数々が、写真とともにふんだんに紹介された本書は、スッキリ暮らすためのコツやアドバイスが学べる一冊。

●物を持たない暮らしはいいことずくめ

 驚くことに飯島家のリビングにはテーブルとソファーとテレビしかない。さぞかし味気ないリビングだろうと思うかもしれないが、そうではない。まるで雑誌かカタログを見ているような空間は、居心地よさが追求されていて合理的だ。

 いったいどうすれば、そんな生活感を一切感じさせない居住空間をつくることができるのだろうか。その一例をあげるとこんな具合だ。

 「空中収納でリビングのきれいを保つ」「ゴミ箱を手放す」「立てる収納でコックピットみたいなキッチンにする」「服はハンガーの数しか持たない」「オンとオフの服を分けない」「プレゼントはお断り」など。物を持たずに暮らすためのテクニックはどれも、けっして難易度は高くない。これらを実践するだけでシンプルライフができるのなら、すぐに取り入れたくなるはずだ。

 しかし、余計な物を持たずにスッキリとした家で生活したいと思っても、大切な思い出の品を処分するのも寂しいもの。そんな即決できない物は「1年保存可能なゴミ箱」へ移動させ、いかに使っていないかが実感できれば、1年後にはすっきりした気持ちで手ばなせるという。

「1年保存可能なゴミ箱」は、メルカリ落札待ちの場所でもある。不要なものでも捨てずに、メルカリでお金に換えるのが著者のスタイル。「売れないものは、ない」との言葉通り、壊れたデジカメにも値段が付くという。

 このように、物であふれかえっている家人から、それなりにシンプルライフを送っている人まで、参考にできる実例が満載だ。ミニマルな暮らしのよさはどこにあるのか、著者は次のようにまとめている。

探し物がなくなる→時短効果
ストックがひと目でわかり、無駄買いが減る→節約効果
家族からの「アレどこ?」が減る→イライラ軽減効果
家事に費やす時間が減る
団欒の時間が増え、家族が仲よくなる
お金やサービスなど「目に見えないものの整理整頓」に意識が向く

●人間関係さえも手放してシンプルに

 ミニマルな暮らしをすることの利点は他にもまだまだある。著者は「持っていたものを6割減らしたことで友人関係までが、ラクになりました」と綴っている。その理由は「今の自分に必要な人間関係を持っているだけでOK!と思えるようになった」からなのだそう。そしてこう続けている。

昔の友人と疎遠になってしまったことにストレスを感じたり、ライフスタイルが合わないことで話が弾まないのに無理して会い続けていたり……。ジワジワ感じていた違和感は、断捨離するというより「受け入れる」ことで解消していったのです。
今、目の前にいる大切な人を大切にできる自分でいよう。
そう思えるようになりました。
すると、手放した関係と入れ替わるように、すてきな出会いが増えていきました。
自分が好き=快適だと思うことに正直に生きていくことは、今の自分に自信を持つことでもあります。

 シンプルライフを極めた飯島さんならではの言葉だ。人はつい、不要なモノでも「いつ使うかわからないから」と保管したり、人間関係においても八方美人にふるまいがち。しかし、もっと大切なのは、いま本当に必要なモノや人間関係に集中することなのだ。

 「家の中を整理しなきゃ」と思いつつも、ついつい先延ばししている人は多いのではないだろうか。そんな人はぜひ、本書を手にしてみて欲しい。たちどころに「よし、今すぐやろう!」と、思わずにはいられなくなるはずだ。

文=向千鶴子