手遅れになる前に! 今見直したい「50代からの安全運転の心得」で運転寿命を事故ゼロで過ごそう

暮らし

公開日:2019/6/29

『運転寿命を延ばす 50代からの安全運転の心得』(時野 学:著、横尾則広:監修、浅田克子:監修、平塚喜之:監修、佐藤洋平:その他、菊池千賀子:写真/幻冬舎)

 高齢ドライバーによる重大事故が取りざたされている。なぜ高齢ドライバーは事故を起こすのか、さまざまな分析がある。問題の解明や分析は大切だが、それを今後どう活かすかがさらに重要だ。

 高齢者の一部にとって、自動車は便利な乗り物にとどまらない。足として必須の道具だ。事故防止のために高齢者から車を取り上げるのではなく、事故を起こさない方法を見つけ徹底できれば、誰もが生涯ドライバーとして車の便利さを享受できる。

 なぜ、高齢ドライバーは事故を起こすのか。高齢になれば、身体能力や反射神経が衰える。しかし、これだけが原因ではないようだ。『運転寿命を延ばす 50代からの安全運転の心得』(時野 学:著、横尾則広:監修、浅田克子:監修、平塚喜之:監修、佐藤洋平:その他、菊池千賀子:写真/幻冬舎)は、認知機能の低下が50歳から始まるというデータと、人間の集中力は43歳をピークに低下していく、というマサチューセッツ工科大学の研究結果を紹介している。無事故運転と脳機能は切れない関係だということは容易に推測できるが、脳機能の低下が早くも40歳代から始まることにショックを受ける中年層は少なくないだろう。

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 死亡事故を起こした高齢ドライバーに認知機能検査を行なったところ、実に5割が「認知症のおそれあり」もしくは「認知機能低下のおそれあり」との判定がなされているそうだ。厚生労働省の発表によると、65歳以上で認知症と認められる人は15%程度、軽度認知障害(MCI)と認められる人は13%にのぼり、この割合は年齢を増すほど高くなる。まだ40歳代だから…と安心してはいられない。認知症にはいくつかタイプがあるが、中でも発症者が最も多いアルツハイマー型認知症は、40歳代からの生活で罹患を先送りできる可能性があるとされている。

 アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβなどの原因物質がたまることで発症するといわれている。この物質は、ゆっくりと年月をかけてたまる。一般に、認知症だと診断される20年以上前から蓄積が始まる、といわれているのだ。

 つまり、例えば65歳で認知症を発症した場合、多くの人が、45歳以前から原因物質の蓄積が始まる。40歳代から原因物質「アミロイドβ」を意識した生活を心掛けるだけで、ドライバー生活を延命できる。

 例えば、仕事盛りの40歳代には難しいかもしれないが、規則正しい生活を送り、適切な睡眠をとることで、原因物質の蓄積を軽減できる。人は起きているときにアミロイドβなどの毒素を蓄積し、寝ているときに毒素を脳細胞から排出するのだ。

 この他、食生活の改善、運動習慣、人との交流、そしてアロマを生活に取り入れることなども有効のようだ。

 本書は、運転寿命を延ばすため、また衰えた能力をカバーするため、余裕を増やす「補償運転」の具体例や「思い込み運転」の修正方法など、数多くの対策を紹介している。

 本書は、多くのドライバーが「生涯安全運転」を実現することを願っている。

文=ルートつつみ