奇想天外な学園コメディ!問題児クラスを指導するのは、ブラジャー一丁の女教師だった
公開日:2019/6/29
学生生活を振り返ったとき、ふっと頭に浮かぶ先生がいる人も多いのではないだろうか。厳しい指導のなかに生徒への愛情を秘めた担任教師、いつも笑顔を向けてくれる校長先生など……印象深い先生は大勢存在するもの。『教えてブラジャー先生』(新矢歩世/秋田書店)に登場する、とある女教師もそのひとりだ。
城遊学園中等部の中3クラスでは、新年度が始まった4月だけでなんと5人も担任の先生が交代する異常事態が発生。机をかかと落としで真っ二つにする不良生徒やクラスをまとめられない委員長など、教師ですら白旗をあげてしまうような問題が山積みだ。そんな問題クラスの担任として新たに採用されたのが、本作の主人公である舞裸慈屋一千代(ぶらじや・いちよ)。なんと、彼女の上半身を隠しているのはブラジャーだけ。名前の通り、“ブラジャー一丁”で教壇に立っている。
ブラジャー先生の赴任初日、半裸で挨拶する彼女を前に生徒たちは愕然とする。お辞儀をしたときのぷるんっと揺れる胸に、全員がドギマギしていた。授業開始前にブラジャー先生は、机を壊したクラスいちの問題児・嵐田純平(あらしだ・じゅんぺい)に、机を中庭に捨てるように指示する。ここぞとばかりに、勢いよく机を投げ捨てる嵐田。他の生徒たちはなにもできず、ドバーンという鈍い衝撃音を聞きながら立ち尽くしていた。
しかし、嵐田がクラスメイトの使用している机を奪った瞬間に事態は一変。なんとそれまでニコニコと傍観を続けてきたブラジャー先生が、嵐田を窓から突き落としたのだ。勢いよく背中から落下する嵐田は、間一髪のところでブラジャー先生のつけていた大きなブラジャーでキャッチされる。驚くことに、一連の奇想天外な行動は、ストレスを抱え込み、自制できなくなっている嵐田のために考えられた演出だったのだ。
“試験落ちまくってた3年間 先生って…生徒って…なんだろって色々考えてたけど 通ってない道はやっぱ難しい…”
“だけど今は先生で目の前に生徒がいる。もしキミの身も心も救われるなら 何でもしてあげたいって思っちゃったよ!”
嵐田が無事に引き上げられたあと、ブラジャー先生の熱い想いを感じ取ったクラスには、これまでにない一体感がうまれていた。ひとつのクラスとして、そしてブラジャー先生は教師として、はじめの一歩を踏みだしたのだ。
コメディタッチで描かれている本作だが、意外にも登場人物の言葉や心理は繊細に描かれている。天真爛漫なブラジャー姿とのギャップを楽しみながら、先生とクラスが成長していく姿を見守りたい。
文=山本杏奈